Austらぼ

オーストラリアを知り、移住・留学を成功させるためのブログ

日本人は借金が大好き

知り合いのオージー 「自己破産は最高だよ♪」

私 「そうなの?」

知り合いのオージー 「前は5万ドル以上借金があったけど自己破産で今はきれいさっぱり」

私 「何か不都合はないの?」

知り合いのオージー 「特にないよ♪ だからウチの姉も自己破産したよ♪」

 

「日本人は保守的で借金を嫌う。だからダメなんだ!」

と言う人がいる。

 

私は強い違和感を覚えずにいられない。

というのも、それに矛盾する事実があるからだ。

(政府の負債が多いというオチではない。ちゃんと個人の借金が多い。

 

オーストラリア人は借金が大好き

オーストラリアの不動産市場が過熱していた2017年頃、「これはバブルだ」という話が一部の人において、まことしやかに囁かれていた。

そのときよく提示された指標の一つに家計の借金がある。

「世帯の債務 対GDP %」   Financial Timesより

 

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オーストラリアの世帯当たりの借金はうなぎ登りで今やグラフ中のどの国よりも高い。

一方、日本はグラフ中のどの国よりも低い。

ということで日本人が借金嫌いというのは本当だった…。

 

日本人が先を争って借金するとき

それでは話が終わってしまうので、今度は「世帯の可処分所得に対する債務の割合%」を見てみる。

 

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赤い線がオーストラリアだ。

直近での上がりが鋭く、どの国よりも高くなっている。

リーマンショック直前までのアメリカの上がり具合がかわいく見える。

 

GDPに対する割合よりも可処分所得に対する割合の方が、各家庭に差し迫った問題が明確に見える。

 

あれっ?

1990年から2000年初頭までは日本が一番高くなっている。

残念ながらそれより前が表示されていないが、きっと凄い勢いで上がっていったはずでだ。

 

バブルの最終段階で借金は加速する。

(日本のバブル崩壊は1990年代前半だ。)

上がり続ける不動産価格を見て、俺も私もと皆がこぞって借金して市場に参加するからだ。

 

正にこの状況の真っ只中、私は日本からシドニーに移住して来た。

たまたま通りかかったオークションでは、ボロっちいタウンハウスが2ミリオンほどで落札されていた。

「なんでこんな家に2ミリオンも払う?」

デフレマインドが染み付いていた私は首を傾げるばかりだったが、落札したカップルはテンションアゲアゲだった。

 

私が参加した不動産関連Meet-upでは、「二年で2.5ミリオンのローンを組んだ人」がさもすごいことを成し遂げた人のように持ち上げられていた。

過去記事「秒速で1億円借金する男」を参照されたい。

 

当時は皆が不動産の話をしていた。

「今年はあと何件買う?」

試しにクイーンズランドに投資物件を買ってみた私に、真顔でそう訊いてきた人もいた。

(私のこの行動こそ、借金が増加していく現象に加担する一例だ。)

 

バブルが弾けるのは、もうそれ以上誰も買いを入れられなくなったときだ。

その臨界点はいつか?

借金が加速し過ぎてそれ以上誰も借りられなくなったときだろう。

 

生産年齢人口の推移がピークを過ぎて減少し始めたときにバブルが弾けるという説がある。

つまり生産年齢人口が増え続けている間は借金できる人が十分にいるから市場は持ち堪えるが、ピークアウトすると借金して不動産を買う人が減少して買い圧力が下がり、その結果市場が急落するという理屈だ。

 

日本のバブル崩壊もその説の根拠の一つとして挙げられている。

仮にそれが正しいとすると、オーストラリアは移民政策によってこれからも生産年齢人口が増え続けるから軟着陸できるかもしれない。

 

最近のIMFのレポートによるとオーストラリアは軟着陸するとの予想である。

これらの理論や予想が当たるかどうかはTime will tellだ。

 

日本人は借金が大好き

以上をまとめると、

  1. どの国でも生産年齢人口の増加期においては借金が増える。(物入りだから)
  2. それは投資や投機を呼び、行き過ぎるとバブル的に資産価格が上がり家計の借金も膨らむ。
  3. 保守的で借金嫌いと言われる日本人もご多分に漏れず、過去においては調子に乗って借金しまくっていたのである!

 

日本人はリスクが大好き

リーマンショックの直後。確定拠出年金の運用成績を同僚と比較…

 

私: 外国株中心のポートフォリオで壊滅

同僚A: 日本株中心のポートフォリオで撃沈

同僚B: 日本円定期預金一択で独り勝ち

 

世界金融危機で過度に進んだ円高により、同僚Bは世界資産家ランキングで上位に躍り出た!

 

…というのは冗談である。

そのときは会社の確定拠出年金が始まったばかりで大した金額が投入されておらず、影響は小さかった。

 

「日本人は貯蓄を好み、リスクを伴う投資を嫌う。だからダメなんだ!」

と言う人がいる。

私はこれに強烈な違和感を覚える。

というのも、それに矛盾する事実が幾つもあるからだ。

 

日本にはキャッシュが有り余る

「日本人は貯蓄を好む」と言われているように、実際日本には預貯金が積みあがっている。

個人(家計部門)が持つ金融資産の残高は19年3月末時点で、1835兆円…主な内訳は、「現金・預金」が977兆円

読売新聞より

 

また、以下の表は預貯金を含む金融資産の順位を示している。

Wikipediaより    注:ユーロ換算

 

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日本は6位でオーストラリアは13位だ。

 

過去記事でオーストラリア人は世界一リッチだと言ったじゃないか!」

と言われるかもしれない。

 

不動産を含めた資産でオーストラリアが世界指折りであることは確かだ。

リーマンショック後の世界的金融緩和で投資マネーが流れ込み、持ち家や投資物件の資産価値が高騰したからだ。

 

しかし預貯金などの金融資産においては必ずしも世界有数ではない。

それを揶揄してオーストラリアでは

Asset rich but Cash poor とか

Equity rich but Cashflow poor

などと自虐している。

 

私がその過去記事において、オーストラリア人の消費行動について

高い車に乗り、高級レストランで優雅に食事する人々の姿が目を引いた。

私はこれを、「不動産の含み益のみを根拠にした消費行動(散財)」と受け取った。

 

と解釈していたのは、そういった理由からだ。

 

日本人がリスクを好む事実① 日本人のFX取引高は世界一

FINANCE MAGNATESというサイトによると、日本のFXブローカー(FX会社)は取引高において世界シェアの35~50%程度を占め、世界一とのことである。

つまり日本の個人投資家は世界一FXが好きということだ。

 

リーマンショック以前から日本は超低金利だったから、その当時は金利が高かった豪ドルとの相性抜群だった。(今は豪ドルも低金利時代を迎えたが。)

そういった背景が日本でFXが普及した理由の一つだろう。

 

日本人がリスクを好む事実② 日本人の暗号通貨の保有率は世界一

Coincheckのサイトによると、ビッドコイン等のCryptocurrencyの保有率は日本が世界一とのことである。

(ある時期、世界一位の座が中国から日本に変わった。)

日本人の暗号通貨好きは、FX会社がそれを扱っているからという理由もあるらしい。

 

 

FXも暗号通貨も、投機性が非常に高い。

つまりリスクが高い。

「日本人は貯蓄を好み、リスクを伴う投資を嫌う」のではなかったのか?

 

「日本人は金融リテラシーが低いからギャンブル的なものに投機する」という説明を聞いたことがある。

 

まさか!

金融リテラシーが低かったら、それらをやってみようとさえ思わないはずだ。

 

オーストラリア人がハイリスクな投機をやらなくていい理由

オーストラリアにおける「過去20年の資産クラス別 年平均リターン」の図を以下に示す。

2018 Russell Investments/ASX Long Term Investing Reportより

 

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一番左がオーストラリア株で、二番目が不動産(住宅)だ。

過去の記事で繰り返してきた通り、何も考えず不動産を所有しているだけで、年平均10.2%のリターンが得られたのだ!

 

そして株も年平均8.8%のリターンだ。

 

(オーストラリア株はリーマンショック後に暴落した。All Ordinariesという指数はつい最近になってようやくリーマンショック前の最高値を超えたことになっているが、配当を加えると実はもっとパフォーマンスは良い。)

 

日本株の長期のリターンはこれより全然低いし、外国株に比べていつも出遅れる。

つまり投資家からあまり期待されていない。

 

一方、オーストラリアでは株や不動産という馴染み深いものに投資しているだけで潤う。

だからオーストラリア人は、FXや暗号通貨というハイリスクなものに手を出す必要がないのだ。

 

「日本人はリスクが大好き」な理由

以上をまとめるとこうなる。

 

  1. 日本には預貯金が積み上がっている。
  2. というのも、日本株は不安定で不動産は一部を除いて下落傾向だから。
  3. 将来、生産年齢人口が減少すると分かっているだからそれらに期待できないのは当たり前。
  4. すると相対的にFXや暗号通貨の魅力が増す。
  5. 他にマネーの行き場がないから、一部の預貯金はFXや暗号通貨に向かう。
  6. 結果、FXや暗号通貨の取引量が世界一になる。

 

日本人だって、身近な株や不動産が順調に伸びている状況であれば喜んでそれらに投資するだろう。

 

FXや暗号通貨のように投機的でリスクの高いものを選好する事実は、「八方塞がりな投資環境において、日本人がどうにかそれを打破しようと試行錯誤している姿」を示唆しているのである。

 

株の配当金が税引き後に増える怪奇現象

飲み会での会話…

 

私 「日本では遺産を相続したら税金を払わなければならない」

オージー&中国人 「そうなの?」

私 「だから不動産の相続を親族で押し付け合う場合がある」

オージー&中国人 「マジで?」

 

オーストラリアは相続税がない国として有名だ。

それに加えて株の配当も一度しか課税されない。(条件付き)

 

これは単にオーストラリア政府が大盤振る舞いだからという訳ではなく、二重課税はしないという崇高な理念を掲げているからなのだ!

 

日本の税制

  1. 働いて収入を得る → 所得に課税される
  2. 可処分所得で消費する → 消費税を課税される
  3. 余剰資金で株に投資する → 株の配当に課税される
  4. どうにかこうにか資産(配当金の手取り分含む)を築いて死ぬ → 相続税を課税される

 

オーストラリアでは「4. 相続税」がなく、また「3. 配当」にかかる税も一度だけだ。

 

オーストラリア株の配当に対する課税

過去記事「株価が上がる原理」において、オーストラリアには配当利回り5%以上の銘柄がゴロゴロしていると述べた。

 

仮にあなたが配当利回り5%の銘柄を1万ドル分(80万円相当)保有していたとしよう。

期日が来て、1万ドルの5%=500ドルを配当として受け取ったとする。

 

オーストラリアでは、「投資で得た収入」も「労働で得た収入」も「その他の手段で得た収入」も合算して税金を計算する。

 

仮にあなたがオーストラリアでフルタイムの雇用につき、平均給与83,700ドルを得ているとする。

$37,001 – $90,000

のレンジには32.5%課税されるから

配当には32.5%課税されそうだが、必ずしもそうはならない。

 

Franking Credit

オーストラリアの法人税は、現在、基本的に30%だ。

配当というのは、税引き後の利益の山分けだから、すでに法人税30%が支払い済みということになる。

二重課税しないのがオーストラリアのポリシーだと前述した。

するとあなたの配当には

32.5% - 30.0% = 2.5%

しか課税されない。

 

(この相殺される分はFranking Creditと言い、法人税が全て払われている場合はFully frankedと呼ばれる。ただし常にFully frankedというわけではなく、配当への課税は

32.5% - 20.0% = 12.5% になったりすることもある…。しかし話がややこしくなるから、以降Fully frankedで話を進める。)

 

最終的に2.0%のMedicare Levyが追加して引かれるから、4.5% (=2.5+2.0) 分が500ドルから差し引かれ、結果、配当におけるあなたの手取りは477.5ドルとなる。

 

Superannuation内で株を保有すると税引き後に配当利回りが増える

過去記事「毎年確実に27万円節税する方法」等で、Superannuation内での課税は15%であると述べた。

すると奇妙なことが起こる。

 

繰り返すが、二重課税しないのがオーストラリアのポリシーだ。

そして配当と言うのは税引き後の利益の山分けだから、すでに法人税30%が支払われていることになる。

 

するとあなたの配当には

15% - 30.0% = -15%

マイナス15%が課税される。

つまり過払いの15%分が政府から戻ってくる。

 

Superannuation内ではMedicare Levyは課されないから、配当の500ドルは

500 x (1 + 0.15) = 575

となり、あなたの手取りは575ドル、つまり税引き後に配当利回りは5.75%に増加するのだ!

 

オーストラリアでは猫も杓子も不動産投資で、実際に過去のほとんどの期間に渡って投資家(自宅含む)に利益をもたらしたが、株もかなり有利なのだ。

 

(実際にSuper内で株を買うにはSelf-managed superfundまたはそれに準ずるものをset upしなければならない。私は凝り性だから私のSuperはSMSFだ。)

 

金持ちは不当に優遇されているという批判

2019年5月の選挙で野党の労働党は、このFranking Creditの制度を廃止することを公約に挙げた。

すなわち、配当に対して二重課税を行うということだ。

 

株式投資して配当を受け取るのは余剰資金があるということで、つまりそれができるのは金持ちだ。

「金持ちばかりがずるい方法で儲けやがって」

というやっかみを利用して政権奪回を狙ったわけだ。

 

私はこの公約には失望した。

先人が掲げた二重課税はしないという理想はどこへ行ったのか。

一貫性のある美しい税制を、(日本みたいに)ツギハギだらけの醜いものに変えようと言うのか。

 

…というのは後付けの理由で、私も少額ながらFranking Creditの恩恵を受けていたからだ。

 

結果的に労働党は選挙に負けたから、それは実現されなかったものの、今後も公約に挙げ続ける可能性がある。

 

しかし、オーストラリアで働くほとんどの人はSuperannuation経由でオーストラリア株に投資している。

どの政党を選ぶかは、Franking Creditの廃止がSuperannuationファンドの成績に悪影響を及ぼすことも考慮に入れるべきだろう。

(私自身は選挙権を持たないが。)

 

投資も労働も経済活動の一形態

オーストラリアでは、「投資」も「労働」も「その他の手段」も収入は合算して課税されると前述した。

移民国家だから烏合の衆が理解できるよう単純化した結果だろうか。

 

一方、日本では「投資」や「労働」や「他の手段」による収入は、違う種類の収入として税金の計算を別個に行う。

 

私はオーストラリアの方が、一貫性があって美しいと思う。

そもそも「投資」や「労働」や「他の手段」の違いを誰が決めるのか?

 

不動産投資は住居を買ってそれを住宅サービスとして提供するビジネスだ。

自営業者は自分のビジネスを所有する。

ビジネスにおいては会社を買ったり売ったり合併したり分割したりする。

株式投資はビジネスの一部を買うことだ。

 

今、日本では副業が推進されている。

副業が一般的になれば、「投資」や「労働」や「その他の手段」の線引きが曖昧な世の中になって行くはずだ。

 

P2Pレンディングでボロ儲け

2004年当時、友達だったオーストラリア女性との会話…

 

友人 「この前、○○に旅行に行って来たのよ」

私 「いいねえ、いつも羽振りが良くて」

友達 「そんなこと全然ないよ」

私 「なんで?」

友達 「だって私、借金が何千ドルもあるから

 

かつて私は、個人やビジネスにお金を貸して、年利10%以上の利子を得ていたことがある。

―どうやって?

 

Peer-to-Peer Lending(P2Pレンディング)のプラットフォーム経由で、どこの誰とも分からない相手に対して無作為に貸し付けていたのだ。

―怪しそう! 中国で問題になってるのを聞いたことがある。

 

きっとそんなリアクションが返ってきそうだ。

だから私は(面倒臭くて)ほとんど誰にも言ったことがない。

 

しかし、「怪しそう」と言って敬遠しているようではいつまで経ってもオイシイ思いはできないのである。

 

パーソナルローン

そもそもあなたは銀行がどうやって収益をあげているかご存じだろうか。

―バカにしてるのか!? 顧客から資金を集めて企業や個人に融資を行い、利子を得ているのだ!

 

その通りである。

個人向けのローンには、ホームローンやカーローンがある。

言うまでもなく、ホームローンは家を購入するために、カーローンは車を購入するために融資を受けるローンだ。

 

それ以外に、何にでも使えるパーソナルローンというものがある。

使途不問の、ある意味、一番節操のない借金だ。

今になって思えば、私の友人の借金はパーソナルローンだったはずだ。

 

銀行が貸すパーソナルローンの金利

オーストラリアの銀行ビッグ4と言えばCommonwealth、Westpac 、ANZ、NABである。

これら格式高い銀行からパーソナルローンを借りる場合の金利を見てみる。

finderのサイト参照。Commonwealthを比較に入れることができなかった。)

条件: 無担保、2万ドル、5年返済

 

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NABの注意書き: Majority of customers will get the headline rate of 12.69% p.a. (13.56% p.a. comparison rate) or less.

Comparison Rateというところを見て欲しい。

13~14%ほどの利率になっている。(注意書きにあるようにNABも結局13%程度になるようである。)

無担保だからそんな高い金利になる(審査はある)のだが、それでも借りる人はいるということだ。

あなたが預けたお金の一部を、銀行はこんな胡散臭い案件にまわし、暴利を貪っているのである!

(実際には銀行は預金の何倍も貸し出すことが可能。)

 

貸し倒れ率(90日以上延滞率)

そもそもお金が足りないから借りるのに、そんな高い金利を課されて返せるのか?

Commonwealth Bankの投資家向け年次報告書を見てみる。

 

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水色の折れ線がパーソナルローンだ。

90日以上延滞している率は1.5%前後で推移していることが読み取れる。

「意外と低い」というのが私の感想だが、いかがだろうか。

 

加えてこの図にはクレジットカードやホームローンの延滞率まで載っていて興味深い。

 

Why not take the risk?

さて私はP2Pレンディングで、濡れ手に粟の、年利10%以上の利子を得ていたと述べた。

私がやっていた投資は胡散臭いだろうか?

 

P2Pレンディングのプラットフォームを用いた投資は、銀行と同じことをやっているにすぎない。

銀行は、あなたが預けた(投資した)お金を使って、個人に貸し付ける。

その結果、あなたはおこぼれの2%台の金利を得る。

 

P2Pレンディングは、単に銀行を中抜きしているだけだ。

店舗がなく人件費が少ない分、借りる人はより低い金利で、投資する側はより高い金利を得られる。

Win-Winの関係なのである。

以下にSocietyOneというP2Pレンディングの創業者の言葉を記しておく。

 

"I knew banks were getting default rates of less than 2 per cent on their personal lending, so why not [take the risk] if I am getting a return of 8 to 9 per cent?"

 

「銀行のパーソナルローンの貸し倒れ率は2%以下だということを知っていた。そしてリターンが8~9%なら、なぜリスクを取って投資しない? いや取るでしょ!」

 

RateSetter

私が使っているP2PレンディングのプラットフォームはRateSetterという。

前述のSocietyOneで投資するのには厳しい条件を満たさなければならないが、RateSetterでなら誰でも投資できる。

オーストラリア国外在住者でさえOKだ。

詳細は Can I invest as an overseas investor? を参照されたい。

 

RateSetterでは現在のところ、投資家は一度たりとも貸し倒れ(デフォルト)の被害を受けていない。

―そんなバカな! デフォルト率は2%程度はあると言ったじゃないか!

と思われるかもしれない。

そういうあなたのためにRateSetterはProvision Fundなるものを積み立てているのである。

 

Provision Fund

ある一定の割合で貸し倒れ(デフォルト)があることを見越して、それを補填するための貯金のことである。

この貯金はお金を借りる人から少しずつ徴収して積み立てられている。

最新のデータではないかもしれないが、RateSetterのサイトに載っている図を示す。

 

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見積もりによると、デフォルト率が6%になるとProvision Fundでは補填しきれなくなるということだ。

今のところ、まだまだ余裕がある。

 

RateSetter自体がボロ儲け

RateSetterは株式上場しているわけではないが、定期的に財務報告書を送り付けてくる。

そうやって透明性の高さをアピールしている。

以下に損益計算書を示す。

 

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営業利益率はなんと52.2%に至る!

こんな高い利益率は滅多にお目にかかれない。

RateSetter自体がぼろ儲けしているのだ。

 

(ちなみに私が働いている企業の営業利益率は10%ちょいだ。業種が全然違うが。)

 

その上、前年から約1.8倍増益している。

毎年、倍々ゲームのようになっているのだ。

 

きっとRateSetter内部はイケイケのお祭り騒ぎになっているだろう。

できることなら私もそういう会社で働きたいものだ。

 

資金は第三者が保管

RateSetterのプラットフォームで投資した資金はRateSetter自体が保有しているわけではない。

第三者機関が保管している。

また、RateSetterが破産した場合でも、貸し付けた資金の債権は法的に有効だ。

 

とは言え、そのとき何が起こるかは誰にも分からない。

したがってRateSetterには何が何でも儲けてもらわなければ困るのだ!

ということで私はRateSetterに何か異変が起こっていないか、財務報告書を注視している。

 

金利は需給で決まる

RateSetterのプラットフォームでお金を課したり借りたりする場合、返済期間は5年や3年、またはその他から選べる。

それらの金利は需給によって決まる。

 

つまり、その時点で

借りたい人 > 貸したい人

の場合は金利が上がり、

 

貸したい人 > 借りたい人

の場合は金利が下がる。

 

日本のP2Pレンディングのサイト(日本ではソーシャルレンディングと呼ぶらしい)で、投資利回りが確定しているものを見たことがあるが、それこそ怪しい。

確定利回りの方が分かり易くて投資する人を安心させる効果があるのだろうが、むしろそういうものこそ警戒した方がいい。

無理がたたっていずれ破綻する恐れがある。

 

需給によってリターンが変動する方が、(たとえリターンが下がるとしても)持続可能でよほど安心な仕組みなのである。

 

本当であるには話がうますぎる

私がオーストラリアに移住してsettleした時期が、たまたまオーストラリアのP2Pレンディング黎明期と一致していた。

RateSetterの優位性に気付いた私はすぐさま資金を投入し、投資額はどんどん増えていった。

 

私の移住はProperty Boomには間に合わなかった。

私が(高値掴みの)不動産投資に冷ややかな態度をとっていた理由の一つはP2Pレンディングという代替物を見つけたからだ。

過去記事「オーストラリアでは猫も杓子も不動産投資 ①~④」

過去記事「秒速で1億円借金する男」

を参照されたい。

 

P2Pレンディングについて、Too good to be true「本当であるには話がうますぎる」と言っている英語の記事を見たことがある。

これはP2Pレンディングを始めた頃の私の感想と同じだ。

 

こんなうまい話があっていいのだろうか?

実際に10%以上のリターンを手にした私はそう思った。

 

このまま続けていくと、将来どうなるのか?

私はそう自問したものだ。

そうして私が導いた答えは以下だ。

 

  1. 貸し手/借り手 の金利は需給によって決まる。
  2. 今は認知度が低くて貸し手が不足しているかもしれないが、将来、貸し手は増えるだろう。
  3. RateSetterはもともとイギリス生まれだ。
  4. イギリスで実証され、後にオーストラリアに上陸した。
  5. イギリスのRateSetterはオーストラリアより金利が低い。(政策金利も低いが。)
  6. 時が経ち広く認知されるようになるとオーストラリアのRateSetterも金利が下がっていくに違いない。残念だが。

 

そして実際、その通りのことが起こった。

今や5年返済物は投資利回り8%を切り、3年物は6%を下回ることが多い。

 

私が始めた頃は、5年物は10%超え、3年物は8%超えだった。

P2Pレンディングで比較的安全にボロ儲けできた時代は終わってしまったのである。

だから私としては、P2Pレンディングがずっとずっと「怪しい投資」であり続けて欲しかった。

 

怪しい誘い

何だかんだ言っても、RateSetterでのP2Pレンディングは今でもミドルリスク・ハイリターンだ。

最後にRateSetterへのリンクを貼っておく。

ここからサインアップし、3年物か5年物に2000ドル以上投資すると、あなたは75ドル ゲットできる。

 

しかし同時に私の懐にも75ドル入るらしいから、それは癪であろう。

だから興味のある人は検索して見つけるか、以下のURLをコピペすることをお勧めする。

https://www.ratesetter.com.au/

 

ホームステイは私の黒歴史

ホームステイでの夕食時。ある日たまたまホストファミリーおよびその友人と同じ食卓についていた…

 

ホストファミリーの友人 「どうして彼だけ違うものを食べてるの?」

ホストファミリー 「そ、それは…」(気まずそう)

ホストファミリーの友人 「彼も同じものを食べてもらったら?」

ホストファミリー 「そ、そうね」

ホストファミリーの友人 「さあ、あなたも一緒にどうぞ」

こうして私の食事は、冷凍食品(単品)から、ちゃんとしたディナーに格上げされた。

 

ホームステイはオワコンだと思っていたが、そうでもないらしい。

最近、Youtubeでホームステイ体験者の動画(主に不満点について)を見て、その利用者がまだまだいることを知った。

ホームステイの情報など巷に溢れているが、やや突飛な?私の提案も示しておこうと思う。

 

私のホームステイ体験

かつて私が語学留学でシドニーに滞在したとき、初めの4週間、Strathfieldのオージー宅にホームステイした。

2003年末~2004年初頭のことだ。

 

記憶が定かではないが、その家には少なくとも4つの寝室と広いリビング、加えて中庭があり、夫婦は二人とも再婚で一方の子供は同居しており、他方の子供は同居していないがときどき出入りしていた。

 

普通、ホームステイのホストをやるのは生計の足しにするのが主な目的だ。

冒頭のエピソードのように、私だけ冷凍食品(単品)を食べていたのは、それが食事付きホームステイとして提供された夕食だったからだ。

(また別の日の夕食は、ミートパイ一個だった。家に帰ってきて冷蔵庫を開けたらミートパイが一つだけ皿に鎮座していた。)

 

あの日は間が悪いことに、偶然、ホストファミリーとその友人が同じ食卓に着くことになった。

部外者であるホストファミリーの友人には、同じテーブルで私だけ粗末なものを食べているのが、不自然に見えたのだろう。

 

…と書くと私のホストファミリーが悪意を持ってそうしていたみたいだが、そんなことはない。

Manly BeachでのクリスマスBBQに誘ってくれたりと、普通にいい人たちであった。

 

ホストファミリーと留学生の関係は、お金では単純には割り切れない。

相性が良ければ友達にもなるだろうし、良くなければ、単なる宿泊者で終わる。

日本人だからという理由で私を呼んだリクルーターのように、ホストファミリーの子供に何らかの影響を与えることだってある。

過去記事「初めての就職活動 in オーストラリア①」参照のこと。

 

ありがちなホームステイの顛末

英会話の習得に意気込んでいた私はホストファミリーとの交流を試みものたが、どうにも上手くいかなかった。

4週間の初めから終わりまで、ずっと上手くいかなかったと思う。

なぜか。

英会話初級者にとって、ネイティブスピーカーの壁は高すぎたのだ。

(オーストラリアの企業で働いている現在でさえ高い。)

 

そしてこれは、おそらくほとんどの人にとって同様に起こる顛末だ。

高い料金を払い、他人の家で窮屈な思いをし、大した食事も与えられず、さほど親しくもならない…。

オーストラリアの場合、「シャワーは5分まで」と言われたりもする。

そんなリスクを冒してまで、わざわざホームステイする必要はあるのだろうか?

 

ホームステイで引きこもり

そのステイ先では実際、没交流の最たる例を見た。

同時期に16歳の中国人がいたのだが、彼はほとんどの時間、自室に引きこもっていた。

2004年当時、「自分は親に送り込まれてここに来ただけ」と言う中国人に大勢出会った。(きっとそれ以降、もっと増えたのでは。)

 

自分の意思で来たわけでない16歳の少年が、言葉も通じない他人の家で引きこもる――これは起こるべくして起こることではないだろうか。

 

最終的に彼は、同じ東アジア系であり英語のレベルが近い私にだけは打ち解けた。

共産主義と社会主義の違いを教えてくれたりしたが、そのときはお互いの英語レベルが低すぎて何のことやら分からなかった。

 

ホームステイで一家団らん

一方で、そのホームステイ先にはすでに二年以上そこに住んでいるトルコ人カップルがいた。

彼らはそのオージー一家と、家族同然の付き合いをしていた。

これはホームステイが最高に上手くいった例である。

彼らはホームステイの契約終了後、安くそこに居候させてもらっていたのだった。

 

下世話な問い

私はホストファミリーとはさほど親しくならなかったが、トルコ人カップルとはずいぶん仲良くなった。

日本に帰った後、彼らが私の家に泊まりに来たこともあるし、私がイスタンブールに訪ねたこともある。

 

特に男性の方はマメなタイプで、ときどき思い出しては私に連絡を寄越して来る。

そこでちょっと前、私は尋ねた。

いつもながら不動産の話題だ。

 

「Strathfieldのあの家は、持ち家だったの?」

ホストファミリーの家のことである。

少なくとも4ベッドあって広かったから、今なら2ミリオン以上いってそうだ。

 

彼は答えた。

「いや、賃貸だった」

 

留学生から徴収したお金をせっせとローンの返済に充てていた――その想像は正しくなかった。

ともかく私のホストファミリーは、マルチミリオネアの仲間入りには至らなかったようである。

 

ホームステイをやるなら最後に

さて、ここからが私の提案である。

(ワーホリや語学留学で1~2年滞在を想定した場合)

  1. 今やシェアハウスの情報など事前に幾らでも入手できるのだから、コスパの悪いホームステイはやらない。
  2. 「何でもかんでもコスパで語るな。私は現地の人々と心の通った交流をしたいのだ」というのであれば、留学の最初は避けて、そこそこ英語に慣れた中頃(例えば都市を移動したときとか)、もしくは一番最後にやる。

 

言葉も習慣も分からない外国に来て、いきなり見ず知らずの他人様の家に泊まるなんて、そもそもハードルが高すぎやしないだろうか。

完全にアウェイの状態であり、できるなら避けるべきである。

だからやるなら、ある程度慣れてからにすべきなのだ!

 

…と書いてみたものの、こんなふうには、多分誰もやらないだろう。

身寄りのない海外と言っても、しばらく経てば勝手が分かり、友人もたくさんできてホームステイなんてものには興味を失っているだろうから。

 

オーストラリアで現地人化した日本人

オーストラリアに家族で移住する際、どうやってスムーズに住居を見つけるかという問題がある。

私の場合は、いわゆる「オーナーチェンジ」をやった。

 

移住する前、日本人向けサイト(Jamsだったか)で、市場価格より明らかに安い賃貸物件の「オーナーチェンジ募集」の広告を見つけたからだ。

 

(ところで日本人向けサイトでしばしば見かける「オーナーチェンジ」という言い方はかなり図々しい。チェンジするのはテナントで、オーナーではないからだ。言葉通りにオーナーチェンジするなら、物件を売買しなければならない。賃貸の名義を変える場合、リース・トランスファーが適切な言い方だ。)

 

1. 物件の内覧(インスペクション)

賃貸の申請書を、日本にいる時点でオーストラリアの不動産屋に提出し、オーナーから承認を得ていたため、私がその物件に住むことは99%確定していた。

しかし念のため、オーストラリアに到着した翌日に後付けで内覧を行った。

 

先住人はオーストラリアに何年も住んでいるという二十代の日本人だった。

日本にいるときからその人物とLINEでやり取りしており、内覧の当日、我々はシドニーのとある場所で待ち合わせすることになっていた。

 

そこは私にとって土地勘のない場所だったから、早めにホテルを出て、実際待ち合わせ時間よりも早くそこに着いた。

日本で何年もサラリーマンをやっていた人間の行動様式である。

 

ところが。

時間になっても相手は現れない。

時計は待ち合わせの時間からすでに10分が過ぎている。

 

私はシドニー到着後早々にSIMカードをゲットしており、前日、相手にLINEでそのことを伝えていた。

だが、待ち合わせ場所では敢えて連絡は差し控えた。

LINEでメッセージを送ったら、急かしているようで悪いと思ったからだ。

そして急かすには、まだ早いように思えた。

そのうち先方から、「遅れます」等の連絡があるはずだ。

こうなったら我慢比べだ。私は耐えた。

 

そして待つこと20分。(もう何年も前の話だが、確かに20分だったと記憶している。)

ようやくそれらしい日本人が現れた。

「こんにちは。○○さんですか?」

私が問うと、相手は肯定した。

ああ、良かった。ともかく出会えた。

 

私は先方がまず、遅刻について謝意を示すのだろうと思った。

ところが、である。

「じゃあ、行きましょうか」

相手は何事もなかったかのように歩き始めたのである。

 

これがオーストラリア流か!

 

私は衝撃を受けた。

20分の遅刻はオーストラリアでは誤差なのか!?

きっとそうに違いない。

オーストラリアでは、いや、日本以外の多くの国において、人々は時間に大らかと言うではないか!

 

私はかつてシドニーで学校に通っていたことがあったから、オーストラリアのことはそれなりに知っているつもりであったが、それは一年にも満たない期間だった。

 

この日本人のように年季が入ってくると、現地人化して細かい時間に頓着しなくなるのか…

このとき私はそう解釈しようと努めた。

 

2. 不動産屋で書類にサイン

「オーナーチェンジ」をするため、つまり物件の借主を私名義に変更するために不動産屋を訪ねた。

ここでの担当者はオーストラリア育ちの日本人という、初めて会うタイプの人種?だった。

我々は英語と日本語を交えて喋った。

 

書類仕事を終えると、彼は豪語した。

「自分が交渉すれば、インターネットの月額料金をマケさせることができる」と。

 

オーストラリアではそんなことが可能なのか!

 

私は衝撃を受けた。

彼は親切にもプロバイダーと交渉して、私の契約を正規料金よりも安くしてやると言うのだ。

 

彼は言った。

「10日後にまた来い」と。

 

なぜ10日後かと言うと、それまでは前の住人のプロバイダー契約を使えることになっていたからだ。

 

しかし疑念が湧いた。

10日後から自分名義でネットを使い始めるには、今から準備しなければならないのではないか?

私はその不動産屋に何度も訊いて確認した。

 

「そんなことはない。10日後でOKだ」

彼は頑なにそう主張した。

 

オーストラリアではそういうものなのか。

釈然としなかったものの私は彼を信用することにした。

 

10日後、再びその不動産屋を訪ねた。

私がプロバイダーの連絡先を示すと、彼は躊躇なく電話をかけ勢いよく話し出した。

 

さすがネイティブスピーカーだ。

私だったら何をどういう順序でしゃべるか電話する前に考えてしまう。

 

そんなふうに感心していると彼は電話を終えて言った。

「無理だった」

 

そりゃそうだろうよ。

電話のオペレーターに、月額料金を下げる権限なんて与えられているはずがない。

なぜ私の契約だけ安くしなければならないのか。

 

加えて判明したことは、今から申し込むと開通するのはおよそ二週間後だということだ。

だから10日前、あれほど言ったのに!

(ところで最近、NBNを契約したときは、申し込んでから一日後には開通した。この話は5年ほど前のADSLのことだ。)

 

私は当然、相手が謝意を表明するのだと思った。

ところが、である。

「親切心で試してあげたけど無理だった。もう用事は済んだから、そろそろ帰ってくれないか」

というようなニュアンスのことを言うではないか。

 

これがオーストラリア流か!

 

私はまたも衝撃を受けた。

人のことを散々振り回しておいた挙句にその言い草か、と。

 

今度はどう解釈すればいいのか分からなかった。

私は彼を信用してしまったばっかりに、移住直後のいろいろ調べ物をしなければならない時期に家でネットができなくなってしまったのだ…

 

その後時が経ち、オーストラリアにもいろんな人がいるということが分かった。(当たり前だが)

むしろオーストラリアにいる人のほとんどは、日本人と同じように、20分も遅刻したら謝る。

というかそれ以前に、「遅れそう」と連絡をよこすだろう。

(いわゆるTradie「業者」はそうでもなかったりするが。)

 

また、約束したことが果たせなかったり自分が言っていたことが間違っていたら、まともなオーストラリア人なら、日本人と同じように、謝る。

 

私が移住直後に出会った二人の日本人は、ただ単に誠意が欠けていただけだ。

 

サービス残業の起源

旧ソ連加盟国出身者との会話…

 

私「日本では在学中に就職活動をして、3月に学校を卒業すると4月から一斉に働き始める」

旧ソ連加盟国出身者「なんて素晴らしいシステムなんだ!」

私「なんで?」

旧ソ連加盟国出身者「わたしの国では、学校を卒業しても就職先がないから、卒業した途端ニートになる」

 

日本は残業大国である。

実は日本の労働時間はアメリカより短い、なんて統計結果もある。

また一方で「サービス残業がカウントされていないから」という意見もある。

 

ともかく多くの人の実感は、「日本人は長時間労働しがちでサービス残業も辞さない」であることは確かだろう。

なぜ日本では、サービス残業―世界でも類を見ない契約外労働―がはびこるに至ったのだろうか?

 

サービス残業が起こる条件

企業側から見て、従業員がサービス残業してくれるほどおいしい状況はない。

敢えて記述するまでもないが、

 

売り上げ - 費用 = 利益

 

費用を増やさずに売り上げ、ひいては利益を増やせるからだ。

 

だから会社は社員研修等で従業員を 洗脳 教育するのに忙しい。

「給料ばかりにこだわる人はみみっちい。あなたが取り組んでいる仕事は社会貢献という尊いものだ」

といった具合に。

 

一方、働く側から見て、サービス残業をやらなければならない状況は、極めて不利な条件を飲まされていることになる。

 

サービス残業は、何らかの形で「企業優位・働く人劣位」という条件が存在しなければ起こり得ない。

 

「企業優位・働く人劣位」はどんな状況で起こるのだろうか?

それは言うまでもなく 労働力の 供給 > 需要 のときだろう。

 

オーストラリアのブラック職場

過去記事

「パートの最低賃金は25%増し(同一労働同一賃金の話)」

「有休取ると給料17.5%増し」

において、オーストラリアの雇用形態は、働く人の権利が十分に守られていることを述べた。

ヨーロッパ先進国同様、オーストラリアが「ホワイト」だというイメージは誤りではないと思う。

 

ところがそんなオーストラリアにおいても、ブラックな職場は存在する。

移民大国オーストラリアゆえの、「企業優位・働く人劣位」が起こる典型的なパターンがあるのだ。

それは常に、ビザ英語能力に由来する。

 

ジャパレス

海外において日本食レストランは典型的な低賃金の職場だ。

過去記事「英語を話せないのには理由がある」シリーズ①~⑥において、日本人が英語カーストの最底辺に位置する理由を考察した。

 

英語に難のあるワーホリの日本人にとって、オーストラリア・ローカルの職を得るのは困難を極めるから、働く場所はジャパレス等に限られてくる。

その結果、

労働力の 供給 > 需要 が起こり、法定最低賃金以下しか支払わないジャパレスが跋扈するようになる。

 

会社が就労ビザをサポートする場合

オーストラリアに魅せられ、永住ビザ取得を目指す人はゴマンといる。

永住ビザを取得する方法の一つとして、企業にビザのスポンサーになって貰うやり方がある。

 

スポンサー企業は、ある一定額以上の給料を支払わなければならないと法律で決まっている。

この場合も、

永住ビザが欲しい人の数 > わざわざスポンサーになる会社の数

であるから、つまりそれは

労働力の 供給 > 需要

ということであり、企業優位だ。

 

私は聞いたことがある。

「ある一定額以上の給料」を支払った証拠を作るために、会社はひとまずその額の給料を従業員に振り込むが、受け取った従業員は給料の一部を返金しなければならない―そんな裏契約があるということを。

 

従業員は喉から手が出るほど永住ビザが欲しいから、その前段階として企業からのスポンサーは必須だ。

だから従業員は振り込まれた給料を素直に返金するのである。

 

日本における労働力の需要と供給

ここまで、従業員が不利な条件を飲まされるときはほぼ必ず

労働力の 供給 > 需要

の関係があることを確認した。

 

日本でサービス残業が常態化するに至るには、

労働力の 供給 > 需要

という関係がある(あった)はずだ。

 

ここで過去の人口ピラミッドを見てみよう。

内閣府のサイトから)

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この図から分かるように、戦後、人口爆発が起こっている。

これはどの国でも見られることだが、特に日本で顕著である。

(だから今、非生産年齢人口 > 生産年齢人口 という重しになっている。)

 

このとき労働力は、後から後から湧いてくる状態だった。

つまり、労働力は掃いて捨てるほどあった。

 

しかし一方で、日本は高度経済成長期へと進んでいくから、必ずしも

労働力の 供給 > 需要

だったかどうかは分からない。

 

ここで過去の失業率を見てみる。

立命館大学のサイトから)

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過去の失業率は1990年代半ばまで低水準で推移していたから、労働力の需給バランスは悪くなかったのかもしれない。

 

新卒一括採用

さてここで日本的雇用慣行に目を向けてみる。

冒頭の旧ソ連加盟国出身者との会話に見られるように、新卒一括採用は日本特有だ。

 

Wikipediaの説明によると

「戦後の復興期の人手不足によって大企業が高卒者を大量に採用したことから確立され、21世紀現在の日本では一般的な雇用慣行である」

とのことである。

 

要は、大量にさばくべき労働力の受給を、効率良くマッチングさせるためのシステムということだ。

(過去の人口ピラミッドと失業率を参照したことはこのことを認識するのに役立つ。)

 

新卒一括採用は、また別の日本的雇用側面を生み出す。

それは「同期」だ。

日本の「同期」という概念は外国人には理解しがたいという話を何かで読んだことがある。

 

ところで想像してみて欲しい。

同じ時期に複数名が配属される職場というものを。

これは、分かり易い比較対象がいるということだ。

 

「同期がライバルだなんて考えたこともない」という人もいるかもしれない。

しかし、である。

ほとんどの仕事において、時間の投入が最も大きな差異を生み出す。

 

隣の部署(係)で同期が毎日2時間(サービス)残業したら、あなたは毎日のうのうと定時に帰っていいものだろうか?

そんなことを続けていると、あなたは周囲から「使えないやつ」の烙印を押されるかもしれない。

「うちの部署の新人は典型的なゆとり世代」だとか、また別の世代だったら「新人類」だとか、その他ありとあらゆる用語で周りから揶揄されることになるだろう。

 

終身雇用

過去の人口ピラミッドから分かるように、軍隊式教育による統率しやすい労働者(そしてそれなりに優秀)が幾らでも供給される状況においては、転職は相対的に難しくなる

「新卒優位・中途劣位」が起こるのだ。

そういった状況では一つの会社に留まるのが最も無難な世渡り術である。

 

労働者が転職を避けるから終身雇用になったのか、新卒一括採用があまりにシステマティックだから終身雇用制ができたのか。

ともかく、終身雇用制の会社員生活において、「使えない奴、非常識な奴」等、一度貼られたレッテルは生涯つきまとう。

 

前述した通り、時間の投入は「能力の低い人」を「そこそこの人」に、「元々能力の高い人」をさらに「できる人」へと押し上げる。

そういった前提条件において、(サービス)残業もせず定時に帰ることはリスクでしかない。

 

(サービス)残業した人は(サービス)残業する人がお好き

驚くべくことに、私自身、このオーストラリアにおいて毎日一時間以上、サービス残業している!

(残業しようがしまいが給料は同じだから 残業=サービス残業 なのである。)

 

それはやはり、時間を投入すれば単純に成果が上がるからである。

(ところでオーストラリアにおける残業については、過去記事「残業時間の落としどころ in オーストラリア」参照のこと。)

 

残業すると成果が上がるということは、たくさん残業する人は、他の人の評価をする立場になる確率が高いということを意味する。

人間、自分がやってきたことを好しとするから、長時間労働をする人を高く評価することになる。

そしてその傾向は綿々と受け継がれていくのである。

 

ヨーロッパ支社で働くヨーロッパ人から実際に聞いたことがある。

その支店(というかその国一般)では、残業は一切禁止であると。

というのも、上司は残業した人を高く評価せざるを得ないから、評価を公正にするために全員の労働時間を一定にしなければならないからだと。

ヨーロッパのとある国において、残業はズル、またはインチキ行為として見なされているのだ!

 

(ところでオーストラリアでも、他の国でも、一生懸命働くことは美徳だ。「休憩も取らずに働いた」みたいな自慢?をオーストラリアでもしばしば耳にする。いろんな国の出身者がそんな自慢をするのを聞いたことがあるから、一生懸命長時間働くことはどの国でも美徳なのだ。)

 

サービス残業の起源

以上をまとめると、サービス残業を含め長時間労働は

  1. 戦後の極端な人口増加を背景に
  2. 大量にある労働力の需給問題
  3. 新卒一括採用という革新的?なマッチングシステムでさばいた結果、
  4. 分かり易い比較対象(ライバル)を生み出し
  5. それなりに優秀で洗脳しやすい新たな労働力が掃いて捨てるほど供給される状況においては転職が難しく
  6. 一つの会社に留まるのが最も無難な世渡り術であって
  7. 労働者が転職を避けるからか、もしくは新卒一括採用が効率的過ぎるからか、ともかく終身雇用制が確立し
  8. ほとんどの仕事において、時間の投入こそが成果を上げる最も簡単なやり方であるから
  9. 皆がこぞって(サービス)残業するようになった
  10. 終身雇用制では、それをやらないのはリスクでしかないから

 

こういった一連の流れが「サービス残業」という世界でも類を見ない摩訶不思議な契約外労働を生み出したのだ!

 

有休取ると給料17.5%増し

日本で働いていたとき。昼休み前…

 

私 「今日はもう帰ります。そして明日も有給休暇取ります」

上司「何で?」

私 「ペットが重病なので看病するために」

上司「君、面白いこと言うねえ(嫌味)」

(法律では、有休取るのに理由は不要ということになっている。)

 

シドニーの会社で働き始めたとき

私 「今回の給料の額、ちょっとおかしいんだけど」

経理担当者「どこが?」

私 「いつもより多くなってる」

経理担当者「有給休暇取ったからだよ」

 

年間30日の有給休暇を取る方法 

 

オーストラリアで会社に雇用されている場合、有給の休みは主に以下の二つである。(弔辞休暇除く)

  • Annual Leave
  • Sick & carer's leave

 

オーストラリア特有のSick & carer's leaveを悪用すると、Annual Leaveと合わせて年間30日間の有給休暇を取得することが可能である。

 

Annual Leave

日本の有給休暇に相当。

フルタイムの場合、年間20日付与。

パートタイムの場合もフルタイムと同じ割合で付与。

 

Sick & carer's leave

自分が病気になったとき、または家族を看病するときに使える。

これに相当するものは日本にはない。(介護休暇が比較的近いが。)

フルタイムの場合、年間10日付与。

パートタイムの場合もフルタイムと同じ割合で付与。

 

上記の病欠をフルに使えば、Annual Leaveと合わせて年間30日間の有給休暇になるのだ!

しかし当然、会社側もそれを阻止しようとする。

この病欠を取った場合、医師による証明書を会社に提出しなければならない。

 

これに関して、私はいつも「変なの」と思っていた。

というのも、ほとんどの病欠は風邪や体調不良によるもので、家で安静にしているのが一番の回復方法である場合が多いからだ。

「寝てれば治る。頼むからそっとしておいくれ」という場合でも、無理して医者に行って証明書をゲットしなければならないのである。

 

がしかし、今回改めて調べてみると、証明書をゲットしなくても、statutory declaration(法的な宣誓書)を書けば病欠の分の給料が支払われるということが判明した!

FairWork Ombudsmanのサイト参照

 

よってまとめると、Annual Leave 20日に加えて年間10日の有給休暇を取る方法は以下の二つだ。

  1. 仮病で休み、医師に証明書を書いてもらう(すんなり書いてくれる) ×10回
  2. 仮病で休み、自分で「宣誓書」を書く ×10回

 

実際、1の方法は多くの人が実践しているという噂である。

 

有給休暇を取ると給料17.5%増し(Annual Leave Loading)

さて、本題はここからだ。

オーストラリアで働いてみて衝撃を受けたことの一つが、有給休暇(Annual Leave)を使うと、その分の日割り(時間割り)の給料が17.5%増しになることだ。

(パートタイムでも同じ割合で17.5%増し期間が付与される。)

 

起源

なぜそんなことになったのか?

とあるオーストラリアの雇用に関するサイトにて、

「1960年代の資源採掘ブームのとき、ホリデー期間中に金属取り扱い商の賃金が減ってしまうのがunfairだということで始まった」とある。

 

イマイチ分からない理屈だ。

休んでいる間、賃金が減るのはunfairだろうか?

休んでいる間の賃金割増しを要求する方がunfairな気もするが。

 

別の雇用に関するサイトには、

有給休暇を取ると、残業代を稼ぐ機会を失うという1970年代の考えを受け継いでいる」とある。

 

残業で稼ぐなんて日本的な発想だ。

しかし今やオーストラリアでは一般的にほとんど残業をしないのだから、割り増し分を要求する理由もない。

だからやっぱりよく分からない。

 

…まあいい。

貰えるものは貰っておこう。

 

  

17.5%増しは被雇用者全員に当てはまるわけではないらしい。「多くの場合に適用される」とある。

しかし、「大企業だけに適用される」とかいうわけではなく、適用例として building and construction, trades, manufacturing, hospitality, hair and beauty and real estate が挙げられているので、大抵の職業には適用されると思って良いだろう。

 

パートの最低賃金は25%増し(同一労働同一賃金の話)

日本で働いていたとき。とある部署にて…

 

私 「Aさん、この仕事を頼んでもいいですか?」

正社員A 「はあ? 何でわたしが? ぶつくさ…」

別の日。今度はBさんのところへ

私 「Bさん、この仕事を頼んでもいいですか?」

非正規社員B「はい、喜んでー!」

 

オーストラリアは同一労働同一賃金

オーストラリアの雇用形態の代表的なものは以下の三つだ。

  • フルタイム
  • パートタイム
  • カジュアル

 

フルタイム

イメージとしては、日本の正社員。

週の労働時間は約38時間。

オーストラリアではAnnual Leaveという有給休暇20日とは別に、Sick Leaveという有給の病欠(病院に行くときに使える)がある。

だから仮病による休みが絶えない、と言われている。

これに関しては、日本の有給休暇(病気だろうが何だろうが有休は有休)の方が公正な気もするが、それは常時健康な人の考えなのかもしれない。

もし何らかの病気にかかったら、「Sick Leaveのおかげで気兼ねなく病院に通え、休める。ありがたい」と思うようになるかもしれない。

 

パートタイム

これは、日本の「パート」とはかなり違っている。

フルタイムとパートタイムの違いは、週に38時間働くか、それより短いかだけの違いである。

パートタイムは、フルタイムと同じようにAnnual LeaveやSick Leave、福利厚生を享受できる。

週に働く時間がフルタイムの半分なら、有休も半分、というように。

 

また、パートタイムがフルタイムより格下というイメージはない。

単にそれは、ライフスタイルの問題だ。

(もちろん、パートタイムのままマネジャーにはなれないだろうが。)

 

カジュアル

これは、日本の「パート」や「アルバイト」に近い。

が、驚いたことに時給換算では、カジュアルはフルタイムやパートタイムより高くなる。

というのも、上記Annual LeaveやSick Leaveは与えられず、また不安定な雇用形態だからだ。

それを埋め合わせるためにカジュアルの場合、最低賃金は25%加算される。

紛らわしいが、日本で言うところの「パート」はオーストラリアでは「カジュアル」で、最低賃金は25%増しになるのである。

 

正社員Aさんと非正規社員Bさんの仕事内容は同じ。経路が違うだけ

さて、冒頭に戻る。

正社員Aさんと非正規社員Bさんの職種は同じで、仕事内容も同じだったが、給料や福利厚生は正社員Aさんの方が上だ。

単に、会社に入って来たときの経路が違うだけなのに。

これは変だ。不自然すぎる。

が、さらにおかしなことに、日本では誰もがこれを「当然のこと」、「仕方ないこと」と思っている。

 

加えて言えば、正社員Aさんは緩みきっていたが、非正規社員Bさんの方は危機感があるのか、どんな仕事にも熱心に取り組んでいた。

私から見れば、非正規社員Bさんこそ、より手厚い待遇を受けるべきだった。

 

同一労働同一賃金が先進国のスタンダード

何年か前に、私が日本で働いていた企業の取締役と会う機会があった。

「今度、人事部も管轄することになった」と彼は言った。

そこで私は言った。

「じゃあ、同一労働同一賃金を実現して下さいよ

彼はキョトンとし、何のことか分からないといった顔をした。

私は正社員Aさんと非正規社員Bさんの例を使って説明した。

これが我々にとって最も分かり易い例なのだ。

 

「同一労働同一賃金が先進国のスタンダードです」

話しているうちに興奮してきたのか、私の口からは、そんな欧米崇拝者まがいの言葉まで飛び出した。

(欧米がやっていることは全て正しいから日本も見習うべき、のようなロジックを、恥ずかしながらこのとき私は使ってしまったわけだ。)

それはさておき、ともかく取締役は納得し、「それは何とかしたいなあ」と同意した。

 

その後、数年が経過したが、その企業の人事制度がどうなったか私は知らない。

取締役が奮闘して、不自然・不公正な雇用形態が改善されたことを期待している。

(2020年に同一労働同一賃金に関する法律が施行されるようだから、それを待って、取締役は何もしなかったかもしれないが。)

 

ほぼ確実に2億円貯める方法

シドニーでの典型的な会話(2017年頃)…

 

友人A「投資用物件を買おうと思うんだけど、オーストラリアの不動産ってめっちゃ高いよね?」

友人B「高いかもしれないけど、長期的には儲かると思うよ」

私  「無理して不動産投資なんかしなくてもSalary Sacrificeで節税した方が確実…」

友人C「長期的には儲かるはずだから、無理してでも買った方がいいよ」

私  「長期で見るならSuperの方が…」

友人A「決めた! 今から買いに行くわ!」

 

私がこれから紹介する「2億円貯める方法」には、運や特別な才能は一切必要ない。

時間を要するが、凡人にでも可能な方法である。

 

乗り越えるべき最も高い壁――それはオーストラリアに移住して、平均的な収入が得られる職をゲットすることだ。

また、それに加えて協力者が一人必要だ。

それさえクリアすれば、あなたがマルチミリオネアに仲間入りするのも時間の問題である。

 

驚愕のリターン(Salary Sacrifice+Superannuation 合わせ技)

オーストラリアにおけるフルタイムの平均給与は83700ドル(670万円程度)であり、その場合、会社がSuperannuationの口座(年金口座)に60万円相当を追加で積み立てる。

 

過去記事「羨ましすぎるオーストラリアの年金②」において、Superannuationファンドの長期的なリターンを示した。

 

また、自己負担で140万円追加することにより、年間27万円ほど節税可能であることを、過去記事「毎年確実に27万円節税する方法」で紹介した。

 

それらを組み合わせ、毎年200万円(会社負担60万円+自己負担140万円)積み立てた場合のリターンを計算する。

 

条件1(9%)

1豪ドル=80円(購買力平価による理論値)

期間:25年(35歳~60歳、移住して来て平均的な収入を得るのが35歳くらいと想定)

年平均利回り:9%(過去記事「羨ましすぎるオーストラリアの年金②」参照)

 

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25年後には1.25億円(1億2500万円)に達することが分かる。

実際には、これに毎年27万円の節税効果も加算される。

27 × 25 = 675万円 浮かせたことになるから、足して1億3150万円である。

 

さて、冒頭で私は、協力者が必要と述べた。

つまりあなたのパートナー(配偶者)だ。

 

パートナーが同じことをやれば単純に二倍、2億6300万円になる。

しかし子育て等で、どちらかが仕事から離れたりすることもあるだろう。

 

だがオーストラリアは労働環境が整っているので、子育てしながらでも働きやすい。

私の職場の二児の母は、週5日中、3日だけ会社に来る、という働き方をしている。

 

パートタイムでも何でもいいが、上の例から3/5という数字を引用すると

1億3150万円 × 3/5 を稼ぎ出すとすれば7890万円になる。

したがって合計すると2億1千万円達成である。

 

さて、この妄想?の一番のツッコミどころは年平均9%のリターンだろう。

しかし1985年設立のファンドの34年平均が9.68%だ。

―そんなバカな!

と思う人は日本のデフレマインドに侵されている。

 

条件2(6%)

とは言え、実のところ私自身も9%という設定は楽観的すぎる気もしている。

だから念のため年利6%の場合もシミュレーションしてみる。

ただしこの場合は、例えば32歳~62歳というように、5年長く働く設定だ。

(そもそも最初の設定が短すぎるのだ。)

 

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複利計算サイトによる結果は30年後に1億1946万円だ。

27 × 30 = 810万円が節税で浮くわけなので足すと1億2756万円になる。

これに3/5を掛けるとパートナー分は7654万円になり、足すと2億410万円達成である。

 

手取りは幾ら?

さて、二人がかりでSuperannuationに全力投入して、生活費は十分に残るかという疑問が残る。

 

フルタイムの平均的な給与83700ドル(670万円程度)から、最大限 Salary Sacrificeした場合の手取りは52110ドル程度で、これにパートナー分を足すと

52110ドル + 52110ドル × 3/5

= 83376ドル(約667万円)

となり、一月あたり6948ドル(約55万6千円)である。

また、節税した分は貯蓄に回したことにしたから(2億円の方に入れたから)、その分を差し引くと、自由に使えるのは

6667ドル(約53万3千円)となる。

 

オーストラリアにおける平均的な生活費

とある住宅ローンのサイトによると、4人家族で 月5378ドル だそうである。

これには住宅ローンの返済額も含まれている。

(住宅ローンの返済額は、賃貸した場合に支払う額と似たようなものだ。)

 

したがって、6667ドル >> 5,378ドル であるから、あなたは十分セレブな?生活が送れる。

(どの都市に住むかでかなり違うが…)

 

2億円はその後も増えていく

Superannuation口座に貯めた2億円はその後も増えていく。

年9%なら税引き後のリターンは1530万円で、

年6%でも税引き後のリターンは1020万円だ。

 

そろそろあなたは皮算用し始めたことだろう。

何のことやら分からずにSuperannuationに自己負担で投入するのも不安だろうから、ファンドのリターンを支えている株やREITが値上がりするメカニズムを過去記事「株価が上がる原理」で解説しておいた。

 

退屈すぎる投資 

タイトルを「2億円貯める方法」にしたから、それを達成できるように数字をこねくり回したが、私が言いたいことは、この方法が強力な運用手法だということだ。

 

だから極端なことをするのを推奨しているわけではない。

余裕のある範囲で実践するといいだろう。

(わたしはもちろん全力投入×2だが。)

 

しかしこの方法は退屈で地味すぎる。

こんな投資法を普段の会話で言うと「引かれそう」だから、ずっと誰にも言えずにいた。