ほぼ確実に2億円貯める方法
シドニーでの典型的な会話(2017年頃)…
友人A「投資用物件を買おうと思うんだけど、オーストラリアの不動産ってめっちゃ高いよね?」
友人B「高いかもしれないけど、長期的には儲かると思うよ」
私 「無理して不動産投資なんかしなくてもSalary Sacrificeで節税した方が確実…」
友人C「長期的には儲かるはずだから、無理してでも買った方がいいよ」
私 「長期で見るならSuperの方が…」
友人A「決めた! 今から買いに行くわ!」
私がこれから紹介する「2億円貯める方法」には、運や特別な才能は一切必要ない。
時間を要するが、凡人にでも可能な方法である。
乗り越えるべき最も高い壁――それはオーストラリアに移住して、平均的な収入が得られる職をゲットすることだ。
また、それに加えて協力者が一人必要だ。
それさえクリアすれば、あなたがマルチミリオネアに仲間入りするのも時間の問題である。
驚愕のリターン(Salary Sacrifice+Superannuation 合わせ技)
オーストラリアにおけるフルタイムの平均給与は83700ドル(670万円程度)であり、その場合、会社がSuperannuationの口座(年金口座)に60万円相当を追加で積み立てる。
過去記事「羨ましすぎるオーストラリアの年金②」において、Superannuationファンドの長期的なリターンを示した。
また、自己負担で140万円追加することにより、年間27万円ほど節税可能であることを、過去記事「毎年確実に27万円節税する方法」で紹介した。
それらを組み合わせ、毎年200万円(会社負担60万円+自己負担140万円)積み立てた場合のリターンを計算する。
条件1(9%)
1豪ドル=80円(購買力平価による理論値)
期間:25年(35歳~60歳、移住して来て平均的な収入を得るのが35歳くらいと想定)
年平均利回り:9%(過去記事「羨ましすぎるオーストラリアの年金②」参照)
25年後には1.25億円(1億2500万円)に達することが分かる。
実際には、これに毎年27万円の節税効果も加算される。
27 × 25 = 675万円 浮かせたことになるから、足して1億3150万円である。
さて、冒頭で私は、協力者が必要と述べた。
つまりあなたのパートナー(配偶者)だ。
パートナーが同じことをやれば単純に二倍、2億6300万円になる。
しかし子育て等で、どちらかが仕事から離れたりすることもあるだろう。
だがオーストラリアは労働環境が整っているので、子育てしながらでも働きやすい。
私の職場の二児の母は、週5日中、3日だけ会社に来る、という働き方をしている。
パートタイムでも何でもいいが、上の例から3/5という数字を引用すると
1億3150万円 × 3/5 を稼ぎ出すとすれば7890万円になる。
したがって合計すると2億1千万円達成である。
さて、この妄想?の一番のツッコミどころは年平均9%のリターンだろう。
―そんなバカな!
と思う人は日本のデフレマインドに侵されている。
条件2(6%)
とは言え、実のところ私自身も9%という設定は楽観的すぎる気もしている。
だから念のため年利6%の場合もシミュレーションしてみる。
ただしこの場合は、例えば32歳~62歳というように、5年長く働く設定だ。
(そもそも最初の設定が短すぎるのだ。)
複利計算サイトによる結果は30年後に1億1946万円だ。
27 × 30 = 810万円が節税で浮くわけなので足すと1億2756万円になる。
これに3/5を掛けるとパートナー分は7654万円になり、足すと2億410万円達成である。
手取りは幾ら?
さて、二人がかりでSuperannuationに全力投入して、生活費は十分に残るかという疑問が残る。
フルタイムの平均的な給与83700ドル(670万円程度)から、最大限 Salary Sacrificeした場合の手取りは52110ドル程度で、これにパートナー分を足すと
52110ドル + 52110ドル × 3/5
= 83376ドル(約667万円)
となり、一月あたり6948ドル(約55万6千円)である。
また、節税した分は貯蓄に回したことにしたから(2億円の方に入れたから)、その分を差し引くと、自由に使えるのは
6667ドル(約53万3千円)となる。
オーストラリアにおける平均的な生活費
とある住宅ローンのサイトによると、4人家族で 月5378ドル だそうである。
これには住宅ローンの返済額も含まれている。
(住宅ローンの返済額は、賃貸した場合に支払う額と似たようなものだ。)
したがって、6667ドル >> 5,378ドル であるから、あなたは十分セレブな?生活が送れる。
(どの都市に住むかでかなり違うが…)
2億円はその後も増えていく
Superannuation口座に貯めた2億円はその後も増えていく。
年9%なら税引き後のリターンは1530万円で、
年6%でも税引き後のリターンは1020万円だ。
そろそろあなたは皮算用し始めたことだろう。
何のことやら分からずにSuperannuationに自己負担で投入するのも不安だろうから、ファンドのリターンを支えている株やREITが値上がりするメカニズムを過去記事「株価が上がる原理」で解説しておいた。
退屈すぎる投資
タイトルを「2億円貯める方法」にしたから、それを達成できるように数字をこねくり回したが、私が言いたいことは、この方法が強力な運用手法だということだ。
だから極端なことをするのを推奨しているわけではない。
余裕のある範囲で実践するといいだろう。
(わたしはもちろん全力投入×2だが。)
しかしこの方法は退屈で地味すぎる。
こんな投資法を普段の会話で言うと「引かれそう」だから、ずっと誰にも言えずにいた。