Austらぼ

オーストラリアを知り、移住・留学を成功させるためのブログ

オーストラリアで現地人化した日本人

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オーストラリアに家族で移住する際、どうやってスムーズに住居を見つけるかという問題がある。

私の場合は、いわゆる「オーナーチェンジ」をやった。

 

移住する前、日本人向けサイト(Jamsだったか)で、市場価格より明らかに安い賃貸物件の「オーナーチェンジ募集」の広告を見つけたからだ。

 

(ところで日本人向けサイトでしばしば見かける「オーナーチェンジ」という言い方はかなり図々しい。チェンジするのはテナントで、オーナーではないからだ。言葉通りにオーナーチェンジするなら、物件を売買しなければならない。賃貸の名義を変える場合、リース・トランスファーが適切な言い方だ。)

 

1. 物件の内覧(インスペクション)

賃貸の申請書を、日本にいる時点でオーストラリアの不動産屋に提出し、オーナーから承認を得ていたため、私がその物件に住むことは99%確定していた。

しかし念のため、オーストラリアに到着した翌日に後付けで内覧を行った。

 

先住人はオーストラリアに何年も住んでいるという二十代の日本人だった。

日本にいるときからその人物とLINEでやり取りしており、内覧の当日、我々はシドニーのとある場所で待ち合わせすることになっていた。

 

そこは私にとって土地勘のない場所だったから、早めにホテルを出て、実際待ち合わせ時間よりも早くそこに着いた。

日本で何年もサラリーマンをやっていた人間の行動様式である。

 

ところが。

時間になっても相手は現れない。

時計は待ち合わせの時間からすでに10分が過ぎている。

 

私はシドニー到着後早々にSIMカードをゲットしており、前日、相手にLINEでそのことを伝えていた。

だが、待ち合わせ場所では敢えて連絡は差し控えた。

LINEでメッセージを送ったら、急かしているようで悪いと思ったからだ。

そして急かすには、まだ早いように思えた。

そのうち先方から、「遅れます」等の連絡があるはずだ。

こうなったら我慢比べだ。私は耐えた。

 

そして待つこと20分。(もう何年も前の話だが、確かに20分だったと記憶している。)

ようやくそれらしい日本人が現れた。

「こんにちは。○○さんですか?」

私が問うと、相手は肯定した。

ああ、良かった。ともかく出会えた。

 

私は先方がまず、遅刻について謝意を示すのだろうと思った。

ところが、である。

「じゃあ、行きましょうか」

相手は何事もなかったかのように歩き始めたのである。

 

これがオーストラリア流か!

 

私は衝撃を受けた。

20分の遅刻はオーストラリアでは誤差なのか!?

きっとそうに違いない。

オーストラリアでは、いや、日本以外の多くの国において、人々は時間に大らかと言うではないか!

 

私はかつてシドニーで学校に通っていたことがあったから、オーストラリアのことはそれなりに知っているつもりであったが、それは一年にも満たない期間だった。

 

この日本人のように年季が入ってくると、現地人化して細かい時間に頓着しなくなるのか…

このとき私はそう解釈しようと努めた。

 

2. 不動産屋で書類にサイン

「オーナーチェンジ」をするため、つまり物件の借主を私名義に変更するために不動産屋を訪ねた。

ここでの担当者はオーストラリア育ちの日本人という、初めて会うタイプの人種?だった。

我々は英語と日本語を交えて喋った。

 

書類仕事を終えると、彼は豪語した。

「自分が交渉すれば、インターネットの月額料金をマケさせることができる」と。

 

オーストラリアではそんなことが可能なのか!

 

私は衝撃を受けた。

彼は親切にもプロバイダーと交渉して、私の契約を正規料金よりも安くしてやると言うのだ。

 

彼は言った。

「10日後にまた来い」と。

 

なぜ10日後かと言うと、それまでは前の住人のプロバイダー契約を使えることになっていたからだ。

 

しかし疑念が湧いた。

10日後から自分名義でネットを使い始めるには、今から準備しなければならないのではないか?

私はその不動産屋に何度も訊いて確認した。

 

「そんなことはない。10日後でOKだ」

彼は頑なにそう主張した。

 

オーストラリアではそういうものなのか。

釈然としなかったものの私は彼を信用することにした。

 

10日後、再びその不動産屋を訪ねた。

私がプロバイダーの連絡先を示すと、彼は躊躇なく電話をかけ勢いよく話し出した。

 

さすがネイティブスピーカーだ。

私だったら何をどういう順序でしゃべるか電話する前に考えてしまう。

 

そんなふうに感心していると彼は電話を終えて言った。

「無理だった」

 

そりゃそうだろうよ。

電話のオペレーターに、月額料金を下げる権限なんて与えられているはずがない。

なぜ私の契約だけ安くしなければならないのか。

 

加えて判明したことは、今から申し込むと開通するのはおよそ二週間後だということだ。

だから10日前、あれほど言ったのに!

(ところで最近、NBNを契約したときは、申し込んでから一日後には開通した。この話は5年ほど前のADSLのことだ。)

 

私は当然、相手が謝意を表明するのだと思った。

ところが、である。

「親切心で試してあげたけど無理だった。もう用事は済んだから、そろそろ帰ってくれないか」

というようなニュアンスのことを言うではないか。

 

これがオーストラリア流か!

 

私はまたも衝撃を受けた。

人のことを散々振り回しておいた挙句にその言い草か、と。

 

今度はどう解釈すればいいのか分からなかった。

私は彼を信用してしまったばっかりに、移住直後のいろいろ調べ物をしなければならない時期に家でネットができなくなってしまったのだ…

 

その後時が経ち、オーストラリアにもいろんな人がいるということが分かった。(当たり前だが)

むしろオーストラリアにいる人のほとんどは、日本人と同じように、20分も遅刻したら謝る。

というかそれ以前に、「遅れそう」と連絡をよこすだろう。

(いわゆるTradie「業者」はそうでもなかったりするが。)

 

また、約束したことが果たせなかったり自分が言っていたことが間違っていたら、まともなオーストラリア人なら、日本人と同じように、謝る。

 

私が移住直後に出会った二人の日本人は、ただ単に誠意が欠けていただけだ。