ホームステイは私の黒歴史
ホームステイでの夕食時。ある日たまたまホストファミリーおよびその友人と同じ食卓についていた…
ホストファミリーの友人 「どうして彼だけ違うものを食べてるの?」
ホストファミリー 「そ、それは…」(気まずそう)
ホストファミリーの友人 「彼も同じものを食べてもらったら?」
ホストファミリー 「そ、そうね」
ホストファミリーの友人 「さあ、あなたも一緒にどうぞ」
こうして私の食事は、冷凍食品(単品)から、ちゃんとしたディナーに格上げされた。
ホームステイはオワコンだと思っていたが、そうでもないらしい。
最近、Youtubeでホームステイ体験者の動画(主に不満点について)を見て、その利用者がまだまだいることを知った。
ホームステイの情報など巷に溢れているが、やや突飛な?私の提案も示しておこうと思う。
私のホームステイ体験
かつて私が語学留学でシドニーに滞在したとき、初めの4週間、Strathfieldのオージー宅にホームステイした。
2003年末~2004年初頭のことだ。
記憶が定かではないが、その家には少なくとも4つの寝室と広いリビング、加えて中庭があり、夫婦は二人とも再婚で一方の子供は同居しており、他方の子供は同居していないがときどき出入りしていた。
普通、ホームステイのホストをやるのは生計の足しにするのが主な目的だ。
冒頭のエピソードのように、私だけ冷凍食品(単品)を食べていたのは、それが食事付きホームステイとして提供された夕食だったからだ。
(また別の日の夕食は、ミートパイ一個だった。家に帰ってきて冷蔵庫を開けたらミートパイが一つだけ皿に鎮座していた。)
あの日は間が悪いことに、偶然、ホストファミリーとその友人が同じ食卓に着くことになった。
部外者であるホストファミリーの友人には、同じテーブルで私だけ粗末なものを食べているのが、不自然に見えたのだろう。
…と書くと私のホストファミリーが悪意を持ってそうしていたみたいだが、そんなことはない。
Manly BeachでのクリスマスBBQに誘ってくれたりと、普通にいい人たちであった。
ホストファミリーと留学生の関係は、お金では単純には割り切れない。
相性が良ければ友達にもなるだろうし、良くなければ、単なる宿泊者で終わる。
日本人だからという理由で私を呼んだリクルーターのように、ホストファミリーの子供に何らかの影響を与えることだってある。
過去記事「初めての就職活動 in オーストラリア①」参照のこと。
ありがちなホームステイの顛末
英会話の習得に意気込んでいた私はホストファミリーとの交流を試みものたが、どうにも上手くいかなかった。
4週間の初めから終わりまで、ずっと上手くいかなかったと思う。
なぜか。
英会話初級者にとって、ネイティブスピーカーの壁は高すぎたのだ。
(オーストラリアの企業で働いている現在でさえ高い。)
そしてこれは、おそらくほとんどの人にとって同様に起こる顛末だ。
高い料金を払い、他人の家で窮屈な思いをし、大した食事も与えられず、さほど親しくもならない…。
オーストラリアの場合、「シャワーは5分まで」と言われたりもする。
そんなリスクを冒してまで、わざわざホームステイする必要はあるのだろうか?
ホームステイで引きこもり
そのステイ先では実際、没交流の最たる例を見た。
同時期に16歳の中国人がいたのだが、彼はほとんどの時間、自室に引きこもっていた。
2004年当時、「自分は親に送り込まれてここに来ただけ」と言う中国人に大勢出会った。(きっとそれ以降、もっと増えたのでは。)
自分の意思で来たわけでない16歳の少年が、言葉も通じない他人の家で引きこもる――これは起こるべくして起こることではないだろうか。
最終的に彼は、同じ東アジア系であり英語のレベルが近い私にだけは打ち解けた。
共産主義と社会主義の違いを教えてくれたりしたが、そのときはお互いの英語レベルが低すぎて何のことやら分からなかった。
ホームステイで一家団らん
一方で、そのホームステイ先にはすでに二年以上そこに住んでいるトルコ人カップルがいた。
彼らはそのオージー一家と、家族同然の付き合いをしていた。
これはホームステイが最高に上手くいった例である。
彼らはホームステイの契約終了後、安くそこに居候させてもらっていたのだった。
下世話な問い
私はホストファミリーとはさほど親しくならなかったが、トルコ人カップルとはずいぶん仲良くなった。
日本に帰った後、彼らが私の家に泊まりに来たこともあるし、私がイスタンブールに訪ねたこともある。
特に男性の方はマメなタイプで、ときどき思い出しては私に連絡を寄越して来る。
そこでちょっと前、私は尋ねた。
いつもながら不動産の話題だ。
「Strathfieldのあの家は、持ち家だったの?」
ホストファミリーの家のことである。
少なくとも4ベッドあって広かったから、今なら2ミリオン以上いってそうだ。
彼は答えた。
「いや、賃貸だった」
留学生から徴収したお金をせっせとローンの返済に充てていた――その想像は正しくなかった。
ともかく私のホストファミリーは、マルチミリオネアの仲間入りには至らなかったようである。
ホームステイをやるなら最後に
さて、ここからが私の提案である。
(ワーホリや語学留学で1~2年滞在を想定した場合)
- 今やシェアハウスの情報など事前に幾らでも入手できるのだから、コスパの悪いホームステイはやらない。
- 「何でもかんでもコスパで語るな。私は現地の人々と心の通った交流をしたいのだ」というのであれば、留学の最初は避けて、そこそこ英語に慣れた中頃(例えば都市を移動したときとか)、もしくは一番最後にやる。
言葉も習慣も分からない外国に来て、いきなり見ず知らずの他人様の家に泊まるなんて、そもそもハードルが高すぎやしないだろうか。
完全にアウェイの状態であり、できるなら避けるべきである。
だからやるなら、ある程度慣れてからにすべきなのだ!
…と書いてみたものの、こんなふうには、多分誰もやらないだろう。
身寄りのない海外と言っても、しばらく経てば勝手が分かり、友人もたくさんできてホームステイなんてものには興味を失っているだろうから。