日本人は借金が大好き
知り合いのオージー 「自己破産は最高だよ♪」
私 「そうなの?」
知り合いのオージー 「前は5万ドル以上借金があったけど自己破産で今はきれいさっぱり」
私 「何か不都合はないの?」
知り合いのオージー 「特にないよ♪ だからウチの姉も自己破産したよ♪」
「日本人は保守的で借金を嫌う。だからダメなんだ!」
と言う人がいる。
私は強い違和感を覚えずにいられない。
というのも、それに矛盾する事実があるからだ。
(政府の負債が多いというオチではない。ちゃんと個人の借金が多い。)
オーストラリア人は借金が大好き
オーストラリアの不動産市場が過熱していた2017年頃、「これはバブルだ」という話が一部の人において、まことしやかに囁かれていた。
そのときよく提示された指標の一つに家計の借金がある。
「世帯の債務 対GDP %」 Financial Timesより
オーストラリアの世帯当たりの借金はうなぎ登りで今やグラフ中のどの国よりも高い。
一方、日本はグラフ中のどの国よりも低い。
ということで日本人が借金嫌いというのは本当だった…。
日本人が先を争って借金するとき
それでは話が終わってしまうので、今度は「世帯の可処分所得に対する債務の割合%」を見てみる。
赤い線がオーストラリアだ。
直近での上がりが鋭く、どの国よりも高くなっている。
リーマンショック直前までのアメリカの上がり具合がかわいく見える。
GDPに対する割合よりも可処分所得に対する割合の方が、各家庭に差し迫った問題が明確に見える。
あれっ?
1990年から2000年初頭までは日本が一番高くなっている。
残念ながらそれより前が表示されていないが、きっと凄い勢いで上がっていったはずでだ。
バブルの最終段階で借金は加速する。
(日本のバブル崩壊は1990年代前半だ。)
上がり続ける不動産価格を見て、俺も私もと皆がこぞって借金して市場に参加するからだ。
正にこの状況の真っ只中、私は日本からシドニーに移住して来た。
たまたま通りかかったオークションでは、ボロっちいタウンハウスが2ミリオンほどで落札されていた。
「なんでこんな家に2ミリオンも払う?」
デフレマインドが染み付いていた私は首を傾げるばかりだったが、落札したカップルはテンションアゲアゲだった。
私が参加した不動産関連Meet-upでは、「二年で2.5ミリオンのローンを組んだ人」がさもすごいことを成し遂げた人のように持ち上げられていた。
過去記事「秒速で1億円借金する男」を参照されたい。
当時は皆が不動産の話をしていた。
「今年はあと何件買う?」
試しにクイーンズランドに投資物件を買ってみた私に、真顔でそう訊いてきた人もいた。
(私のこの行動こそ、借金が増加していく現象に加担する一例だ。)
バブルが弾けるのは、もうそれ以上誰も買いを入れられなくなったときだ。
その臨界点はいつか?
借金が加速し過ぎてそれ以上誰も借りられなくなったときだろう。
生産年齢人口の推移がピークを過ぎて減少し始めたときにバブルが弾けるという説がある。
つまり生産年齢人口が増え続けている間は借金できる人が十分にいるから市場は持ち堪えるが、ピークアウトすると借金して不動産を買う人が減少して買い圧力が下がり、その結果市場が急落するという理屈だ。
日本のバブル崩壊もその説の根拠の一つとして挙げられている。
仮にそれが正しいとすると、オーストラリアは移民政策によってこれからも生産年齢人口が増え続けるから軟着陸できるかもしれない。
最近のIMFのレポートによるとオーストラリアは軟着陸するとの予想である。
これらの理論や予想が当たるかどうかはTime will tellだ。
日本人は借金が大好き
以上をまとめると、
- どの国でも生産年齢人口の増加期においては借金が増える。(物入りだから)
- それは投資や投機を呼び、行き過ぎるとバブル的に資産価格が上がり家計の借金も膨らむ。
- 保守的で借金嫌いと言われる日本人もご多分に漏れず、過去においては調子に乗って借金しまくっていたのである!