Austらぼ

オーストラリアを知り、移住・留学を成功させるためのブログ

2020年 中国不動産バブル崩壊説

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私はこの2020年を神妙な気持ちで迎えた。

「今年は中国発のとんでもないことが起こるかもしれない」

元日、私は禊(みそぎ)のためにMornington半島の先端まで車を走らせた。そして浜辺で冷水を浴びて身を清めた。

アレは本当にやって来るのか? 落ち着かない気分で過ごすこと数週間、私が警戒していたものとは別の「中国発のとんでもないこと」が起こってしまった。

 

オーストラリアの生産年齢人口

以下はオーストラリアと日本の生産年齢人口(15歳以上65歳未満)の推移である。三井住友DSアセットマネジメント「オーストラリア経済の長期展望」から拝借。

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誰もが知るようにオーストラリアは移民政策によって今後も増加するが、日本は減少する。

以下の小売売上の推移を見ると、過去、オーストラリアは順調に増えてきた。生産年齢人口の推移と相関があるように見える。(生産年齢人口の図と期間が異なることに注意。)

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「多くの経済現象は人口動態で説明できる」という説があり、私はそれを強く信じている。オーストラリアに移住する前から信じていたし、移住後にますます確信を強めた。過去に度々、私が移民政策を推して来たのはそのためである。

過去記事「欧米人が優雅に生きられる理由」

過去記事「移民に働かせてビーチでカクテル」

 

 

中国不動産バブル崩壊説

ここからが本題である。

以下は「橘玲の中国私論」という本からの抜粋。(図、文章ともにコピペ)

 

“日銀副総裁を務めた西村 清彦 氏は、アジアだけでなく、アメリカのサブプライム・バブル崩壊も、ヨーロッパの不動産バブル崩壊も、すべては「人口動態の変化という長期の『波』の上で 踊られた『 ダンス』」だと述べている。

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日本の生産人口比が最大(約2・3)になったのはバブル崩壊の年の1990年。アメリカは2007年(生産人口比 約2・0)で、サブプライム・バブルが崩壊した年だ。ヨーロッパに目を転じると、ギリシアとポルトガルの転換点は2000 年、アイルランドとスペインの転換点 は2005年で、いずれも不動産バブル崩壊が起きている。西村 氏の見方が正しいとすれば、生産人口比が下がり続ける日本ではもはや不動産バブルは起こらず、遅れたバブルで賑わう国 も、生産人口比を見れば崩壊の時期をある程度予測できる。

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日本は1995年に生産年齢人口がピークアウトしてから人口オーナスの影響を受けはじめ、 総人口が減少に転じた2008年頃からその影響が深刻化した。これと同じ経路をたどるとする ならば、中国でも生産年齢人口の減少によってすでに人口オーナスは始まっており、2020年頃にはその影響がはっきりしはじめ、総人口が減少に転じて成長を続けるのが難しくなる可能性 があると津上 氏は指摘する。”

 

歴史の証人になる

私がこの本を読んだのは2017年だった。それ以来、2020年が来るのを楽しみ?にしていた。そしたら別の「とんでもないこと」が起こってしまったわけだ。

オーストラリアに移住して以来、周りの中国人に「中国の不動産バブルについてどう思うか」何度も訊いた。彼らの答えはこんな具合だった。

「中国では親戚一同で援助(借金)して家を買う。個人で買えないくらい高くても、親戚一同で買い続けるから価格が下がることはない」

「大丈夫、中国は共産主義だから政府が市場をコントロールできる。バブル崩壊はあり得ない」

 

本当だろうか?

もし人口動態に着目してオーストラリアの不動産を手堅い投資と思うのなら、同じ理由で中国の不動産バブル崩壊を警戒すべきだ。

それは間違いなく、オーストラリアの不動産市場への下げ圧力である。(不動産だけにとどまらない。)

直近で「中国の不動産市場が回復している」といったニュースを見かけた。しかしそれが最後の流動性注入=借金の加速=悪あがき に思えて仕方ないのは私だけだろうか。バブル崩壊の直前にはOvershoot(行き過ぎ)を伴うのが常である。

2020年、我々は歴史の証人になるかもしれない。

 

注1)一夜のうちに「とんでもないこと」が起こるわけではない。何年も経って振り返った時、「あの年が転換点だったんだ」としみじみ思う感じだ。

注2)実際、2018年頃には中国経済の悪化は顕著だった。アメリカ政府は当然、中国の人口動態のことくらい知っているから、とどめを刺すために貿易戦争を仕掛けたんだろう、と私は空想?していた。

注3)実はオーストラリアも生産年齢人口比率のピークは過ぎている。が、生産年齢人口はこれからも増加していくから、日本や中国ほど深刻ではないはずだ。とは言えこのことには留意しておくべきだろう。