Austらぼ

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オーストラリアで本当にあった不動産詐欺!? 国家ぐるみのネズミ講

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オーストラリアではつい最近まで、国家ぐるみのネズミ講が行われていた。あなたも知らぬ間に、この巨大な陰謀に巻き込まれていたかもしれない。

 

誰でも知っている情報をネタに家を売りつけて来る人たち

不動産業界の人たちが使う殺し文句に「オーストラリアは移民によって人口が増えている。だから将来値上がりする」というのがある。

自宅として買うのだとしても、それは同時に手堅い投資だと言うのだ。

 

株式市場の場合、そのような誰でも知っている情報はすでに株価に反映されている。素人にはチンプンカンプンな情報にさえ市場は即座に反応する。

不動産市場はどうだろうか?

同じである。だからシドニーやメルボルンの住宅は常に割高なのだ。「市場は織り込み済み」というやつである。

10年後の価格は20年後を織り込み、20年後の価格は30年後を織り込むから、オーストラリアの不動産はずっと割高だろう。

もし本当に人口がずっと増えていくのなら。

 

移民は不動産市場の上げ圧力

オーストラリアの人口増は自然増よりも移民流入による方が大きい。

以下は州別の移民数(流入-流出)を示している。(2017-2018年)

MacroBusiness - Mass immigration is destroying housing affordabilityから拝借。

NSWとVICのCapital Cities、つまりシドニーとメルボルンへの流入が際立っている。

 

以下は都市別の住宅価格指数を示している。

 

近年ではシドニーとメルボルンの値上がりが顕著である。 

移民流入が住宅価格上昇の直接的な原因かどうかは分からない。が、少なくとも「移民は不動産市場の上げ圧力」と言い切っても問題ないだろう。

 

Population Ponzi

日本人が自国をディスることがあるように、オーストラリアの識者も自国についてこう自嘲する。

「オーストラリアは新しい価値の創造もせず、Population Ponziをやっているだけ」と。

ネズミ講のことをPonzi Schemeと言う。だからPopulation Ponziは「人口ネズミ講」といったところか。

ネズミ講とは例えば

  • 「年利30%の投資案件」を顧客Aに100万円で売りつける。
  • 同様に新規の顧客Bに売りつける。
  • Aへのリターン(30万円)はBから得た100万円から払う。
  • 同様に新規の顧客Cに売りつける。
  • Bへのリターン(30万円)はCから…

以下繰り返し。新たな顧客を獲得できる限りこれを続けることができる。そして、うまく行っている間は全員ハッピーなのである。

 

ん? これって何かと似ているような…

まるでどんどんやって来る移民に不動産を売りつけるオーストラリアみたいでは?

そう、我々は知らぬ間に国家ぐるみのネズミ講に巻き込まれていたのである!

 

手堅い投資が詐欺に変わる時

今年度と来年度の移民数(流入-流出)は次のように予想されている。SBS News 2018-2019年度との比較。

2019-2020年度 30%減

2020-2021年度 85%減

 

冒頭の不動産業者の殺し文句は「人口が増える」ことを前提にしていた。今、一時的にオーストラリアのPopulation Ponziは機能していない。不動産市場への上げ圧力の一つは取り除かれたのだ。

ネズミ講に参加する人々は、それがうまくいっている間は素晴らしい投資だと褒め称え、破綻した途端、それを詐欺と呼んで糾弾するのである。

 

注)商品が実在する場合はマルチ商法と呼び、合法らしい。よって本件はマルチ商法と呼ぶべきか。