Austらぼ

オーストラリアを知り、移住・留学を成功させるためのブログ

毎年5万ドル以上Super(私的年金)にぶち込んだ男の末路

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私は過去にSuperannuation(私的年金)に自ら入金することによって節税できることを紹介した。

過去記事「毎年確実に27万円節税する方法」

 

また別の記事において、それを続ければ2億円貯めることも決して難しくないと算出して見せた。

過去記事「ほぼ確実に2億円貯める方法」

 

さらにその記事中、節税効果を最大限活用するために私自身は毎年全力でSuperにぶち込んでいると述べた。

全力というのは上限いっぱい 25,000ドル×2人分 = 50,000ドル ということである。

(課税所得を減らし節税目的でSuperへ入金することをConcessional contributionsと呼ぶ。)

 

実のところ、この毎年の5万ドル以外にも投資資産をSuper内に移している。(この表現の意味は後で分かる。)

と言うのも、Super内での投資リターンには税金が15%しかかからないからである。

(課税済みのお金や投資資産を入金することをNon-concessional contributionsと呼ぶ。)

 

さて、金融市場が大荒れに荒れているのは周知の通りである。

私のSuperannuationの状況は、誰もが興味を持つトピックに違いない。

 

私とSalary sacrificeの出会い

私はオーストラリアに移住する前から上記のように課税所得を減らして節税する方法を知っていた。

オーストラリアの税制をネットで調べていたときに知ったのだ。

「こんなウマイ話があっていいのか!?」

私は自分の目を疑った。そしてATOのサイトを熟読したものである。

何度読んでもそれは圧倒的に有利なことに思われた。そして決意した。

「よし! オーストラリアでお金を稼ぐようになったら絶対にsalary sacrificeで節税するぞ!」と。

注)ここでのSalary sacrificeは給与所得者が行うConcessional contributionsのこと。他の意味もある。

 

さてオーストラリアに移住してみると、誰もそんなことは知らなかった。周りにいる人間の多くが移民だったからかもしれないが。

初めに就職した会社(小さな会社)でその設定を頼むと怪訝な顔をされた。しかし説明してどうにかやってもらった。

 

そして妻にも同じことをやるように勧めた。

ロジックでは確実に得することが分かっているのだが、実際やるには心理的な抵抗がある。

だがTax return後、支払った税金が少なかったことが確定すると彼女のテンションは目に見えて上がった。

 

節税はズルいのか?

Concessional contributionsをやる人はお金に余裕があって節税できてズルい――と主張する英語の記事を見かけたことがある。

これは本当にバカげている。

毎年全力でConcessional contributionsをすると、年々Superの残高が増える。

リタイア後、SuperのBalance(残高)が多すぎるとAsset testで引っかかり、Age pensionは貰えない。

あの「羨ましすぎるオーストラリアの年金①」を受け取る権利はなくなるのである。

 

毎年全力でConcessional contributionsするという行為は、「将来、オーストラリア国のお世話になるつもりはございません」と宣言しているようなものだ。

オーストラリア政府にとっては一時的に税収減かもしれないが、将来の福祉コストを大幅に減らせる。よって政府は人々にConcessional contributionsを促しているのである。

注)リタイア後に途中でSuperの残高が減ればAge pensionの権利は復活するはずである。確認してないが。

 

毎年5万ドル以上Superにぶち込んだ男の末路

ここまで勿体ぶってきたが結論を言うと、私のSuperはなんと無傷である。

無傷どころか粛々と7%程度のリターンを出し続けている。

なぜか?

Self-managed super fund (SMSF) を開設し、conservativeなポートフォリオを組んでおいたからである。

そしてSuperの外でやっていた投資の半分くらいをSuperの中に移してある。そこではリターンにかかる税率が15%だから。

 

SMSF

SMSFとはつまり、自分で好きなように運用するSuper fundということだ。

私のポートフォリオと各リターン

 

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P2Pレンディング      7 ~ 9 %

不動産開発への融資ファンド 6 ~ 7 %

社債            5 ~ 6 %

 

P2Pレンディングがconservativeか? と思われるかもしれない。

その疑問には「P2Pレンディングでボロ儲け」で力説しておいた。

 

少なくとも私には、ちょっと前までの過熱しすぎだった株式市場よりはるかに安全に見えていた。

金融リテラシーが高すぎる多くの日本人と同様、私の嗅覚もそこそこ鋭かったようだ。

もっと鋭ければ、華麗に逆転してみせた日本人たちのように何かの売りポジションに賭けていただろう。

 

私のポートフォリオを構成するものは資産価値が上下するものではなく、Fixed incomeに相当するものであり、換金も可能だ。

P2Pレンディングや不動産開発への融資ファンドは今後、実体経済が悪化するに伴いリスクが上がるだろうからそれに備えるつもりである。

 

なぜ今までSMSFを記事にしなかったのか?

このブログはオーストラリアで生計を立てることや投資について試行錯誤する場のはずだ。

にもかかわらず今までSMSFを記事にしなかったのはなぜか?

複雑すぎるからである。万人に推奨できるスキームではないし、興味を持ってくれる人もほとんどいないだろう。

とは言えひょっとしたら私と同じようなpassionを持つ人がいるかもしれないので、次回あたりSMSFの詳細について書いてみようかと思う。

多分ワーホリの人や留学生なんかは見向きもしてくれないだろうが。