永住ビザをドブに捨てた過去③ ビザ復活
永住ビザが失効する日を私は普段通り過ごした。
次にやることはすでに決めていた。
もう一度、Skilled Independent Visaを取り直そうと思っていたのである。
間もなく、「めんどくさ」と思いながら私はIELTSの準備をやり始めた。
ここで話は急展開する。
経緯は省略するが、私は日本の会社を去ることに決めた。
とある出来事を契機に、そこでの責任を果たしたと確信したからである。
「オーストラリアに移住する」と宣言して辞表を叩きつけたものの、実はその時点でビザを取れる保証はなかった。
だからもし失敗していたら、「オーストラリアに移住すると言って辞めたのにオーストラリアに行けなかった痛い人」になっていただろう。
Resident Return Visa
Skilled Independent Visaを取り直す準備をしていたとき、オーストラリア政府のサイトで重大な記述を発見した。
「過去5年中2年以上の居住を満たせなかった場合でも、Resident Return Visa(一種の永住ビザ)が発行される場合がある」というものだ。
その条件とは?
「オーストラリアとビジネス上のつながりがあることを示せ」
ビジネス上のつながり
これはどういう場合を想定しているのだろうか?
最もありそうなのは、
- 元々オーストラリア企業で働いていたが、海外転勤になり3年以上戻らなかった。
- 元々オーストラリアでビジネスをやっていたが、何らかの事情があって母国に帰った。ビジネスの経営は他の人に任せている。
等である。
一方、私が主張できそうな「ビジネス上のつながり」は、
- 日本の企業で働いているが、自分が開発した製品はオーストラリアでも売られている。
- オーストラリア事務所のマネジャーにマーケティング用の情報を提供していた。
- 私の名前でオーストラリアで特許申請している。
等であった。どうだろう? 苦しいこじつけだろうか?
合否は審査官の裁量次第
この際のResident Return Visaの合否は審査官の裁量で決まる。
証拠資料と作文によって審査官を説得しなければならない。
またも正月休みを使って私は作文を書いた。(退職届は出していたがまだ会社に所属していた。)
以前より英作文の技術は上がっていたが、念には念を入れて、オンライン英会話のフィリピン人講師に添削してもらった。
そして関連書類を集めてビザを申請した。
丁か半か?
賽は投げられた。
日本国が求める移民
ところで日本国が求める移民として、高度人材という大袈裟な言葉がある。
オーストラリアを参考にしたのだろう、これもポイント制である。
ただし、もっと選り好みが激しい。
70点が合格点なのだが、特許を一件持っていると15~20点も加算される。
(特許にもピンキリがあって、苦し紛れな特許や申請して後で取り下げる場合もある。)
仮にそういった人物に需要があるのなら、オーストラリアは私にビザを与えるべきだ。
頼むよオーストラリアさん、しばらく疎遠にしてたけど、これからはもっとつながろうよ!
かくして私は永住ビザを復活せしめた
一週間後、結果のメールが来た。
Visa Grant
私はホッと胸を撫でおろした。
ビザのない状態で辞表を叩きつけ、二週間ほどでビザをゲットしたことになる。
ところがまたもや、すぐには移住しなかった。
与えられたResident Return Visaの入国有効期限(一年間)ギリギリ、海外旅行しまくったのである。
そしてもう当分旅行はしたくないとお腹一杯になってから、シドニーに移住して来た。
前にシドニーを去ってからちょうど10年経っていた。