欧米人が優雅に生きられる理由
日本人の海外在住者が「働き方」について語るとき、幾つかのパターンがある。
- ヨーロッパでは仕事のやり方が効率的で、残業する人など皆無である。合理的で効率的だから労働生産性が高い。それに比べて日本では無駄な会議が多く意思決定も遅い。ダラダラ残業する割に労働生産性が低い。先進国として情けない。
- シリコンバレーでの競争は熾烈を極め、エンジニアたちは昼も夜もなく働き、その対価として大金を得る。彼らは優秀だから労働生産性も当然高い。日本は全くもって甘っちょろい。もっと働け。
等である。
いずれにせよ、「日本型」を完全否定するのだ。
オーストラリアは上記の「ヨーロッパ型」で語られる。
私は、海外在住者が情報の非対称性をいいことに、あることないこと吹聴するのが我慢ならない。
欧米人が優雅に生きられるカラクリ
前回の記事で、各国の「人口に対する外国生まれの人の割合」を紹介した。
今回は「一人当たりのGDP」に「移民比率」を重ね合わせたグラフを作成してみた。
一人当たりのGDP(名目):世界経済のネタ帳 2018年データ
移民比率:「オーストラリア政府 2017年データ」に不足分を世界経済のネタ帳から引用
「一人当たりのGDP」1位から26位まで、つまり日本までを並べた。
どの国も日本より移民比率が高いことが分かる。
データが多すぎて分かりにくいので、
日本人が崇拝する欧米諸国+オセアニアを以下に抽出する。
「一人当たりのGDP」が日本より高い国はどこも、圧倒的に移民の割合が高いのである。
過去の記事(移民は神様 等)でしつこく述べた通り、移民政策(生産年齢人口を増やす)は経済活性効果が極めて高いのだ。
くどいようだが、
労働生産性 = 一人当たりのGDP ≒ 一人当たりの所得
である。
冒頭の「ヨーロッパ型働き方」が可能なのは、彼らの「働き方」が効率いいからというのは大嘘で、むしろ本当のところは、雑な仕事をやって定時で帰っても問題にならないくらい、十分な需要があるからと考える方が妥当だ。
(供給に対して需要が十分あるから競争が少ない。日本にもそんな時代があったが日本人は全く手を抜かず競争に明け暮れた。その結果、一時期すごいことになった。)
よって、真の「働き方革命」は適切な移民政策によって可能になるのである。