約束は絶対に守るオーストラリアの政治家
Googleで「政治家 公約」と入力すると「守らない」が検索の候補に現れる。日本人は政治家に対して不信感を持っているということだろう。
ここオーストラリアでは、政治家は一本筋が通っている。特に首相のScoMoは有言実行の男である。
Housing Affordability
私は2014年末にオーストラリアに移住して来たが、ニュースで度々Housing Affordabilityという言葉を聞いた。
以下は前回も示した可処分所得に対する住宅価格と家計の借金の図である。
住宅価格は可処分所得に対し、近年では5倍に達している。家は庶民が手を出すには高くなりすぎた。また購入価格が高いということは賃貸するときの家賃もクソ高いということである。
ScoMo首相は財務大臣だった頃からこれを社会的な問題と認識し、首相になってからはその改善を目標に掲げていた。
また他の政治家たちもHousing Affordabilityを改善しなければならない――つまり「住宅価格を下げなければならない」と口々に唱えていた。
ところが政府は(中央銀行と結託して)常にそれとは真逆の行動をとって来た。
不動産市場が下落する兆候が見られると、大慌てで政策金利を下げて市場を支えるのである。
私はオーストラリアの政治家たちに不信感を抱くようになった。
彼らはHousing Affordabilityを改善するつもりなどないのではないか。むしろ不動産相場を上げたいのではないか?
政治家は不動産投資家
それもそのはずである。政治家たちは不動産投資家という別の顔を持っている。
ABCの記事(2017年)によると連邦議会の議員中96%は不動産を所有しており、48%は投資物件を持っている。一般人(General population)と比べて不動産投資をしている率は4.8倍高い。
記事によると33軒所有するメガ大家もいる。
完全に利益相反な状態である。
そんな彼らが庶民のために情熱を持ってHousing Affordability改善に取り組むだろうか?
いや、取り組むはずがない。
ところが…
出揃った市場予測
以下は向う二年くらいの不動産市場の予想である。(条件や期間はバラバラ)
SQM research マイナス30%程度
Commonwealth 最大マイナス30%程度
NAB 最大マイナス30%程度
Westpac マイナス20%以上
ANZ マイナス10%以上
これらの数字がどれくらい当てになるかはさておき、近々住宅価格が下がるのはコンセンサスになっている。
ということは…
そうか。そうだったのか!
ScoMoが不動産バブルをぶっ壊す
新型コロナウィルスの感染者が出始めた比較的早い段階で、オーストラリア政府は店舗を営業禁止にした。
私はこのとき、ScoMo首相は「感染抑制」と「経済」を天秤にかけ、苦渋の決断を下したのだと思っていた。この私の発想の何と貧しく浅はかなことか。
彼はもっと遠くを見ていたのだ。その先に見据えていたのはHousing Affordabilityだったのである!(経済やビジネスを破壊するという荒療治によってHousing Affordabilityを改善(予定)した。ただし失業した人にとっては改悪という説もある。)
こうしてオーストラリアの政治家に対する私の不信感は消えた。 ScoMo首相は、人々との約束を必ず守る一本筋の通った政治家である。
Scott Morrisonが不動産バブルをぶっ壊~す!
注)ちなみにScoMo首相が所有するは一軒だけ(たぶん自宅)であり、利益相反しにくい状態である。