Austらぼ

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羨ましすぎるオーストラリアのコロナ給付金 ― 2週間毎に10万円

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先日、ZOOMの会議で驚くべき事を告げられた。5月からは2週間に3日間だけ働けばいいのだと!

 

強引すぎるオーストラリアの営業禁止令

オーストラリアでは日本よりも厳しいウィルス感染防止策が取られている。3月下旬から、飲食店やジムなど広範囲な業種の店舗が営業禁止になった。もし営業しているのがバレると罰金である。

「えっ、マジで? そんなことしていいの?」

その措置が施行されたときの私の感想だ。

実際、3月22日にその措置が取られるや否や失業者が続出した。そしてものの一週間ほどで不動産屋には家賃値下げ交渉が殺到したのである。

関連記事「家賃交渉/シェアハウス脱出のすすめ」

 

羨ましすぎるオーストラリアの給付金

3月末にはJobKeeper Paymentなる給付金が発表された。

かいつまんで言うと、コロナ禍で売り上げが30%以上減った(もしくは減る見込みの)企業や自営業者は、雇用を継続している従業員一人当たり、2週間毎に1500ドル給付される。

お金の流れ

政府 → 企業(自営業者) → 従業員(自営業者自身)

これは企業が従業員を解雇するのを防ぐ措置である。雇用し続けるのが条件だから、前述の失業者の一部は雇い戻されているはずである。

そしてこれは、3月30日から9月27日まで続くことが決まっている。

 

注)上記とは別にJobSeeker Paymentという給付金もある。こちらは2週間毎に1100ドル程度給付。

 

苦虫を嚙み潰したような顔

私が勤める企業も売り上げ30%減を免れなかったようである。(逆に運良く30%に達した?)

先日ZOOMで会議があり、5月から私の部署にも前述の給付制度が適用されると告げられた。

私は2週間に3日だけ働けばいいということだった。

これはどういうことか?

  • 会社は売り上げ30%減を喰らったが従業員を雇用し続ける。
  • 従業員一人あたり2週間毎に1500ドル、政府から給付される。
  • まともな会社(ホワイト企業)は1500ドル分以内で社員を働かせることになる。
  • 私の場合、それは2週間で3日に相当するらしい。(これは個別にメールで知らされた。)

 

この話は複雑だったので、私の英語の聞き取りでは一度聞いただけでは理解できなかった。マネジャーの説明中、ZOOMの向こうの同僚たちは苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべていたから、重い話なんだろうなと思っていた。

しかし後に内容を理解すると、私はそれを前向きに受け取った。しばらくのんびりできるのである。私はどさくさに紛れて会社との契約を破る(職務を放棄する)ようなことはしたくはなかったから、Work from Homeせずに会社に立て籠もっていたが、会社側が休んでくれと頼むならそれに従うのはやぶさかではない。

関連記事「指示待ち」ではないオーストラリアの働き方

 

経営側の思惑 vs 同僚たちの思惑

一方、私の同僚たちは1か月以上前からWork from Homeしていた。経営側から見ると、R&DにWork from Homeされてはたまらない。何も生み出さない連中に給料を満額払い続けることになるからだ。とは言え世の雰囲気はWork from Homeを推奨することが良識のようになっている。(ところで、コロナ禍はインフォデミックの類だと私は考えているがここではそのことに深入りしない。)

このジレンマを解消するために経営側は全員に暇を出すという手段で対抗し、同僚たちの思惑――Work from Homeという名の有給休暇を永久に取り続けること――は打ち砕かれた。

そうか、そうだったのか!

だから同僚たちは苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべていたのか!(深読みし過ぎ?)

 

日本政府がケチな理由

現在の為替レートで計算すると1500ドルは約10万円である。2週間毎に10万円だから月に20万円以上だ。

日本では一回きり?の10万円給付で揉めてチンタラやっている。なんという社会保障の差! なんというスピードの差!

(日本の中小企業の社員にも給料全額保証の給付金が出るという英語のニュースを見たがなぜか日本語では全然ニュースになっていない。)

 

こういった内外の差を見て「オーストラリア万歳!」「Japan sucks!」などと海外を持ち上げ日本をディスる人がいる。

けれどもオーストラリアにそれができて、日本がやりたくてもできないのにはちゃんと理由がある。

各国政府の資産と債務(対GDP 2016年 データ元:IMF)

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右が資産で左が債務。

黒い点 ● を比較すると、オーストラリアの純資産はプラスで日本はマイナスだ。よって今のところオーストラリアは余裕があるから、政府はいろんな手をスピーディーに打てるのである。(物凄く単純化した議論だが。)

オーストラリアに今のところ余裕がある理由の一つは適切な移民政策にある。日本のメディアが語る「移民」はほとんど偏向報道であることに気を付けた方が良い。

関連記事「欧米人が優雅に生きられる理由」

 

注)私は「今のところ」を強調している。今回の騒動で潮目が変わる可能性はある。

 

結局はオーストラリア万歳!

同じ10万円を配るなら、高所得者よりも低所得者に配る方が経済効果は高い。低所得者は10万円を消費に回すが、高所得者は蓄財したり、株とかビットコインでマネーゲームするだけだから。

したがって高所得者には給付せず、低所得者や失業者に20万円バラまく方が実質的だし経済効果も高い。

日本では、早いからという理由で一律給付することになっているがチンタラやってる感が否めない。

この点でも、雇用を保ち、ある程度の収入を保証することにスピード感をもって対応しているオーストラリアのやり方の方が理に適っている。

私は「オーストラリア万歳!」「Japan sucks!」という短絡型とは一線を画したいと思っているが、今回は「オーストラリア万歳!」というオチにせざるを得ないようだ。