永住ビザをドブに捨てた過去①
リタイア後に移住したい国ランキングにおいて、最近ではマレーシアが上位になっているのをよく見かける。
かつてランキング上位の常連はオーストラリアではなかったか?
日本から年金を受け取り、オーストラリアで暮らす――そんなことが可能だった時代がある。
きっとランキングにも「実現可能性」がちゃんと反映されているのだろう。
オーストラリアの永住ビザ取得は年々難しくなっているし、そもそも物価が日本と逆転してしまった。
クロワッサン買える人なら投資ビザ取れるかも
十数年前、投資ビザは4-5千万円分くらいの投資で取得でき、「現実的」と思った記憶がある。(間違ってるかも。間違っていたらすいません。)
それが今では5ミリオン必要だ。
一体どんな人を対象にしているのだろうか?
メルボルンのLune Croissanterieと同じくらい、私には手が出ない。(クロワッサン一個が5.9ドル)
2004年のタウンホール
私は2004年に一年間、シドニーでの生活を満喫した。
その当時、Town Hall付近には日本人がいっぱいいた。
日本人、韓国人、中国系で、天下三分の計をやっていたという印象だ。
しかし記憶というのは容易に歪曲される。
だから多分、実際のところは「今より日本人の割合が多かった」程度だろう。
私の周りにいた日本人たちは、オーストラリアに「一時のバカンス」や「スローライフ」を楽しみに来ているようだった。
私自身は英会話の習得に必死だったが、そんなのは苦労のうちに入らなくて、やはり「一時のバカンス」の範疇に含まれていた。
一方、韓国人はハングリーな人が多かった。
稼ぐのに必死だったし、永住ビザを狙っていた。
その当時の日本人仲間の会話では、永住ビザという単語は一言も出てこなかったと思う。(誰もその知識がなかった。)
このことは日・豪・韓の経済力の差を如実に示している。
一人当たりGDPで、日本は2000年には世界二位だった。(そこをピークに急落している。)
実際、私はシドニーで、単発のバイト数回以外は働いていない。
生活費は貯金から賄われていた。
技術独立ビザ
帰国後数年経って、ふと永住ビザについて調べてみた。
オーストラリアの永住権を取ろうと試みる人は、滞在中に何かしら素晴らしい体験をした人なんだと思う。
私の場合、それはシェアハウスの住人や無料語学学校の生徒たちとの交流だ。
ホームステイはダメダメだったが。
それで永住ビザについて調べてみたところ、どうやら私はSkilled Independent Visaのポイントを満たしているようだった。
永らくこのIndependentの意味がよく分からなかったが、再びオーストラリアにやって来て理解した。すなわちIndependent Visaとは、Sponsored Visaに対する語句だったのだ。
Skilled Independent Visaは、スポンサーしてくれる会社・組織に依存しなくて良く、その上、例えばITエンジニアとしてビザを取っても、別にその種の職に就く必要さえないという極めて自由度の高いビザである。
エージェントは不要
2006~2007年当時、Skilled Independent Visaには、現在のようなInvitationなる制度はなかった。
所定のポイントさえ超えていれば、確実にビザを取得できた。
ビザ取得の大まかな流れはこうだ。
- 関連ある認定機関に技術査定してもらう。私の場合、Engineers Australia
- 査定には、「技術者として関わった3つのプロジェクト」を説明する作文が必要
- また、IELTSの結果が必要
- 技術査定の結果および、その他書類をオーストラリア政府に提出する
- 先のIELTSの結果はここで再利用できる
- 書類に不備がなければVisa Granted
私はこれらを独力で行った。ビザ申請代行会社に頼むと60~80万円必要だったから。
今ほど情報はなかったが、それでも先人たちはいた。
彼らのブログを参考にし、またオーストラリア政府のサイトを読み込んだ。
これによって一時、永住ビザに詳しくなったから、自分自身がビザ申請代行業者になろうかなと思ったことがある。
だが結局のところ、ビザの合否を決めるのは当人の学歴や職歴、IELTSの点数だ。
IELTSの基準を満たせる人なら私と同様にオーストラリア政府のサイトを読み、所定の手続きを踏むだけなんだからそんな商売は成り立たない――このときはそう思った。
ところが再びオーストラリアにやって来て、エージェントを使ってビザを申請しようとしているイギリス人に出会った。
英語ネイティブでも自分でビザ申請できないんだ! と軽い衝撃を受けたものである。
これは例えば日本人が、日本の市役所のサイトを読み、必要な書類を集め、市役所に提出するようなものだからである。
だが間もなく、そういうものかもねと納得した。いや納得することにした。(世の中にこの種のサービスがいかに多いことか!)
技術認定
それである年、会社の正月休みを丸々費やして、「技術者として関わった3つのプロジェクト」についての作文を書いた。
当時から、誰が読んでも誤解しないような英文を書く自信があったが、今思うとあれは稚拙だった。今ならもっと短時間でより洗練された作文が書けるだろう。
だからもし過去の自分にアドバイスできるとしたら、「自分より英語ができてかつ信頼できる人に添削してもらえ」と伝える。
幸い、私の拙い英作文でも技術者認定はされたが。
続く…