Amazon.com.auで物販してウンザリしたこと
オーストラリアでは、日本と違って物事はスムーズに進まない。
ビジネスをしようものならなおさらだ。
オーストラリアのAmazonで3か月間、物販をして経験した様々なストレスを紹介する。
関係者たち
Amazon.com.auでの物販では、以下の会社・人物たちと関わることになる。
①卸売業者
②配送業者のサイト
③Newsagency
④配送業者と提携している自営業ドライバー
⑤購入者
⑥Amazon Australia
これらの関係者たちは悪意なく、いや悪意をもって少しずつあなたの精神を蝕んでいく。
①卸売業者
卸売業者のスタッフが商品を足蹴にしていた(靴底を載せていた)のを見たことがある。
足を掛ける場所は他に幾らでもある。なぜわざわざ売り物の上に足を置かなければならないのだろうか?
箱がきれいそうな商品を私が吟味していると、「箱なんてどうでもいいだろ?」と言ってきた。
この人たちは自分がネットで発注して送られて来た商品の箱が汚れていたり歪んでいても何とも思わないのだろうか?(きっと低評価をつけてくるはずだ。)
②配送業者のサイト
FBA用に、メルボルン郊外にあるAmazon倉庫に送ったときのことだ。
そこは車で1時間もかからない場所にある。
数日経っても荷物が届かないので追跡してみたら、「配送したが、不在連絡票を置いてきた」となっている。
配送した時間は平日の昼間になっている。
意味が分からない。
Amazonの倉庫には何人ものスタッフが働いているはずである。
ともかく、配送業者のサイトで再配達を自分で予約した。
ところが一週間経っても配達されない。
私は配送業者に毎日のように問い合わせた。
不毛なやりとりの後、判明したことは、ある時期からAmazonの倉庫に配送するには事前予約が必要になったということだ。
だからと言って何の言い訳にもならない。
配送業者は新たなルールに従い、事前予約してから配送すればいいだけのことである。
オーストラリアではほんの少しでも定型から外れる業務が発生すると、途端に物事は進まなくなる(と私は確信している)。
日本人はマニュアル的な対応しかできない…というような批判を日本人自身が言っているのをよく聞くが、そんなことは全然ない。
稀にオーストラリアで日本と同じような責任ある対応を受けると感激してしまう。日本にいたときは当たり前すぎて意識していなかったが。
さて、一か月近く要して配送はようやく完了した…配送業者の主張では。
しかしこれを書いている時点ではまだAmazon側にそれが反映されていない。
まったく安心できない。
③Newsagency
配送業者のサイトで予約したら、小包・箱に宛先とバーコードを貼り、Newsagencyに持って行く。その後、配送業者と提携している配送ドライバーが取りに来る。
配送物の追跡は各経由地でバーコードがスキャンされることによって可能になる。
Newsagencyはあちこちにあるが、オヤジたち(店員)の挙動はいつも疑わしい。
端末の操作が覚束なかったり、カウンターの中が荷物で散らかっていて、「本当にちゃんと配達されるのか?」と不安になる。
あるとき配送物を出すと、Newsagencyのオヤジは受け取るなりカウンターの裏に置いた。
私「ちょっと、スキャンしてよ!」
オヤジ「え? スキャンするのか?」
私「しないと受領記録が残らないだろうがよ!(こんな乱暴な言い方はしていないが)」
私の指導によって彼は一つ新しいことを学んだ。
毎日のように同じNewsagencyで出荷していると、そこのオヤジたちから好奇の目で見られる。
オヤジ「これは商売でやっているのか?」
私「まあ」
オヤジ「何を売っているんだ?」
私「売れるものなら何でも」
オヤジ「何でもってつまり何だ?」
私「それは時と場合によるから…」(無在庫販売だと教えるつもりはない。)
日本のコンビニで、こんなウザいやり取りを想像できるだろうか?
また、毎日のように出荷していると、オヤジたちは面倒臭そうな顔をする。
「やる気がないなら帰れ!」
昔、学校の先生に言われたセリフを私は叫びたくなる。
④配送業者と提携している自営業ドライバー
配送物を家に取りに来てもらったこともある。
妻が家にいる予定だったからだ。
我々はアパートメントに住んでいるから、インターホンでやり取りしてからエントランスまで降りて行くのに一、二分はかかる。
妻が配送物を持って下まで行くと、もうドライバーは出発していた。
荷物を取りに来たくせに、受け取らないで立ち去ろうとするのだ。
意味が分からない。
妻は走って追いかけ、どうにか配送物を受け取ってもらった。
オーストラリアでは、客は神様でも何でもなく、むしろ格下の扱いを受けるのである。
⑤購入者
オーストラリアでは基本、「置き配」だ。そこここで荷物が放置されているのをよく見かける。
Australia Postにおいて、初期設定は「置き配」で、「受け渡し時にサインをもらう」ためには追加料金が必要になる。
「サインをもらう」設定にすると、配達ドライバーは購入者が不在の場合、不在連絡票を置いて行く。
これは日本と同じ仕組みだ。
私が利用している配送業者のサイトでは「サインをもらう」を無料で指定できる。
だから初めの頃、私は「サインをもらう」を指定していた。
すると何が起こったか?
多くの購入者が再配達を手配しないで、「商品はいつ届くのか?」と私に聞いてくるのである。(Amazonのシステムを通して)
「10日前に届いとるわ! ボケ!」(追跡できる。)
そう答えたいのはヤマヤマだが、そんな訳にもいかず
「不在連絡票を見て再配達を手配して下さい」
等々、面倒なやり取りをしなければならないのである。
すると、「不在連絡票なんてなかった!」と主張する購入者のなんと多いことか。
本当だろうか?
配送ドライバーもたいがいあてにならないが、この場合、私は購入者を疑わずにいられない。
どうせ他のチラシや封筒と一緒に捨てちゃったんじゃないの? そう思わずにいられないのである。
そもそも出荷した時点で、私の仕事は終わりのはずだ。
出荷すると購入者にはAmazonからメールが届き、そこに追跡番号も載っている。
購入者は追跡番号を使って商品がどこにあるのか自分で確認すべきだ。
この手のボンクラな購入者があまりに多いから(勝手に決めつけているが)、ある時期から「置き配」を選ぶようになった。
すると商品の配送完了が圧倒的に早まった。(繰り返すが、追跡できる。)
めでたしめでたし…とはしかし、ならなかったのである。
案の定、「商品が届かない」と言う購入者が現れた。
しかし追跡すると、商品は10日くらい前に配送済みになってある。
配送ドライバーからのメッセージ欄には、「ゴミ箱の裏」と書かれてある。
「ゴミ箱の裏を探してみて下さい」
私は購入者に促したが、何もないと言う…。
まあ、ないだろう。だって10日も前にそこに置かれたんだから。
この件はこじれにこじれたが、結局Amazonの裁定によって、私から購入者に返金ということになった。(問答無用で口座から差し引かれる。)
Amazonから要求される通り、私は幾つか証拠を提出したが、覆らなかった。証拠に求められる基準を全て満たしていたにもかかわらず。
この商品は190ドルで仕入れ、10ドルの配送料がかかったものだ。Amazonのプラットフォーム料を含めると230ドルほど失ったことになる。
…ということで、私は再び「要サイン」に戻らざるを得なくなった。
⑥Amazon Australia
上記のように、AmazonはSellerにやたらと厳しい。
がしかし、自分自身には甘いのである。
あるとき、とある購入者が私のショップに低評価をつけて来た。
「配送が約束よりも遅かった」とのことである。
調べてみると、その商品はAmazon FBAから発送されていた。
低評価をつけるなら、私のショップではなく、Amazonにつけるべきである。
私はこのアホなコメントにウンザリした。
それはさておき、実際オーストラリアのAmazonで買い物してみると、Amazonが出荷するのはそんなに早くない。
注文してから二、三日後だったりする。
いったいその間、何をやっているのだろう?
私は無在庫販売なのに、試験的に副業でやっているだけなのに、注文から24時間以内に出荷可能だ。(その結果届くのが早すぎて、購入者は不在連絡票に注意を払っていないのかもしれない。)
低評価をつけられて、私はどう対応するか迷った。
購入者本人に抗議すべきだろうか。
わざわざ私からのメールを読んで、自らの愚行を認め、律儀に評価を取り下げたりするだろうか?
迷った挙句、私はAmazonに「発送したのはAmazonなんだから私のショップに低評価がつくのは納得できない。その評価を削除してくれ」と頼んだ。
AmazonはSellerを低く見ているから「どうせ無視されるだろう」と私は全然期待していなかった。
オーストラリアでは問い合わせは大抵無視される。
「○○の購入を検討しているから詳しい資料を送って欲しい」といった、相手が得する問い合わせでさえ無視される。
ところが。
このときのAmazonの対応は迅速だった。
ものの数十分で低評価は削除されたのである。
Amazonは、自分自身の発送が遅かったと認めたのか、それとも購入者が嘘をついていると判断したのか、いずれにせよ即座にその低評価を削除してくれたのだった。
日本の配送業者は優秀
FBAで自動的にチャリンチャリン――半ば不労所得のようなものを妄想していたが、期待に反して幾つものストレスフルな経験をした。
私は日本にいるとき、配送を含めネットショッピングを完全に信頼していた。
Amazonの日本での成功には、優秀な配送業者たちの寄与するところが大きいだろう。(人口密度が高いというのもあるが。)
今になって彼らの努力に頭が下がる思いである。