羨ましすぎるオーストラリアの年金①
前回の記事「移民に働かせてビーチでカクテル」で、移民はオーストラリア生まれの人よりも高収入な人の割合が高く、オーストラリア政府は「してやったり」とほくそ笑んでいると紹介した。
その後、私は、彼らがほくそ笑む真の理由をオーストラリアの年金に見出した。
オーストラリアの年金は二階建て
オーストラリアの年金は基本的には二階建てである。
① Age Pension 一定年齢に達するだけで貰える(国民年金に相当)
② Superannuation 自分で積み立てる(確定拠出型年金ぽい感じ)
①のAge Pensionが国民年金と決定的に違うところは、保険料を支払わなくても受給できる点だ。
と言っても通常は税金によって間接的に支払っているわけだが、極端な話、ずーっと収入がなくて一円(1セント)も納税しなかったとしても年齢に達すれば満額貰える。
満額貰える条件
「持ち家なしの単身者」の場合、「資産が約3500万円より少ない」ことが条件だ。
あなたは満額貰えそうだろうか?
きっと難しいに違いない。
そういう人のために、オーストラリアのマネー雑誌では、「どうやって散財してできるだけ多く年金を貰うか」みたいな特集をやっていたりする。
Age Pension の満額
持ち家なし 単身者 約15万円/月
持ち家なし カップル 約22万7千円/月
となる。ピンと来ないだろうか?
日本の国民年金(満額)と比べれば圧倒的だ。
一人当たり 6万5千円/月
国民年金の利回り(支払った額に対するリターン)は1%前後らしいが、オーストラリアのAge Pensionの利回りは無限大だ。
これは、移民政策によって生産年齢人口(納税者)を調整しているからこそ成り立つのである。
増加傾向の年金資産
おまけにAge Pensionの財源は増え続けている。
WHY AUSTRALIA BENCHMARK REPORT 2019から引用する。
日本では年金資産(対GDP)が減少している
2007年 66% 2017年 63%
のに対し、オーストラリアでは
2007年 114% 2017年 138%
と増加している。
(GDPに対し数値が大きいのは「潤沢」であることを意味する。)
くどいようだがこれは、移民政策によって生産年齢人口(納税者)を調整しているからこそ成り立つのである。
増えていく財源を見て、制度の設計者はニヤリとしたに違いない。
「これで年金は100年安心だ」と。