移民に家を貸せ
前回の記事で「移民に家と車を買わせろ」と書いた。
家と車が高い買い物の代表だからそう書いたわけだが、これまた机上の空論に聞こえただろうか?
―ぽっと出の移民に家が買えるわけないだろ、と。
実際のところ別に買えなくてもOKなのである。
人口減は織り込み済み
オーストラリアで不動産は過大評価されているが、日本では逆に過小評価されている。
投資利回りを見れば分かる。
オーストラリア、特にシドニーなどでは利回りは下手するとマイナスになる。
購入価格が高すぎて、ローンの返済額が家賃収入を上回るのだ。
なぜそんな投資をするのか?
頭が悪いのか?
実際、頭が悪いのだが、彼らが期待するのはキャピタルゲイン(値上がり)のみだ。
過去、ほぼ一貫して値上がりしたのだから、消費者物価指数や賃金の上昇率から遥かに乖離して異常な値上がりを見せた直近の市場でさえ、さらにもっと上がると期待して買うのだ。
(2017年にピークをつけ、その後値下がりが続いている。)
異常な値上がり―
これを言いかえると、10年、20年先の人口増を市場はすでに織り込み済みということだ。
逆に日本では、10年、20年先の人口減を市場はすでに織り込んでいる。
だから割安で投資利回りは高い。
それでも日本人がマイホームの購入をためらうのは将来の人口減によって自宅の価値が暴落するのを恐れているからだ。
買い圧力を支える移民
さて、「移民が家を買えなくてもOK」に話を戻す。
ぽっと出の移民は、家を買うほどの購買力はないかもしれないが、少なくとも住居を賃貸しなければならない。
移民による人口増によって空室率がかなり改善されたとしよう。
すると、不動産は負動産でなくなるから、価格の下落は落ち着く。
そうすれば、日本人も安心してマイホームを買えることになり、ひいては消費が活性化されるのである。
オーストラリアで日本の住宅ローンの金利の低さについて話すといつも驚かれる。
日本で家を買いたいと言う奇特な人もいた。
日本人は消費者マインドがお寒い状態だが、ひょっとすると移民はもっと大胆かもしれない。