オーストラリア人は日本人より4割増しで有能
「オージーはレイジー」
2004年にシドニーで語学留学していたとき、周りにいるワーホリの日本人たちがそう言っていた。
これはまず、語呂が良い。
またオーストラリアに住んでいると、オージーの仕事っぷりに関するトンデモ話をしばしば聞くことになる。
だから「オージーはレイジー」が事実かどうかはともかく、日本人たちがそう言いたくなるのは理解できないわけでもない。
一人当たりのGDP比較 オーストラリア vs 日本
ところが、である。
2018年の一人当たりのGDP(名目)で比較すると、オーストラリア人は日本人より4割以上も多く稼いでいるのである。(世界経済のネタ帳より)
オーストラリア US$56,352 (世界11位)
日本 US$39,306 (世界26位)
56,352 / 39,306 x 100 = 143%
一人当たりのGDPは労働生産性と同義である。
したがってオーストラリア人は日本人より4割増しで有能なのだ!
また、2004年のデータを見てみる。
日本 US$37,697 (世界14位)
オーストラリア US$32,751 (世界19位)
このときは日本が勝っていた。
直近14年間でオーストラリアが逆転し、今や遥か彼方まで行ってしまったのだ。
このことは以下のように説明できる。
すなわち、
2004年頃、ワーホリの日本人たちに「オージーはレイジー」とバカにされたオーストラリア人たちは、「このままでは来るグローバル時代の国際競争に勝てない」と危機感を覚え、切磋琢磨し合ってスキルアップにいそしみ、職場においては一切の無駄を省いて効率化を図り、それに加えて馬車馬のごとくガムシャラに働いた結果である。
…というわけではもちろんなく、
事実は単に、オーストラリア人の給料(収入)が増えたからである。
「有能なオーストラリア人」のカラクリ
ヤフコメなどを見ていると、以下のような誤解が散見される。
「日本の会社は会議が多く無駄が多い。ダラダラ残業して効率が悪く、生産性が低い」
よって
「日本人もスキルアップして仕事を効率化し、無駄を省いて労働生産性を上げなければならない」
実のところスキルアップも効率化も、一生懸命働くことも、労働生産性とほとんど関係がない。
労働生産性 = 一人当たりのGDP ≒ 一人当たりの収入
となるからだ。
この公式に、スキルや効率や一生懸命働くことは(表面上)含まれない。
給料(収入)が上がれば労働生産性は上がるのである。
日本の労働生産性改善への提言
さてもう一度、ワーホリ日本人たちの格言を思い出してみよう。
「オージーはレイジー」
これは失礼極まりなく、挑発的でさえあるが、オーストラリアが日本よりeasygoingであることは誰も否定しないだろう。
少なくともオーストラリア人の国民性が、「スキルアップして効率化して無駄を省き、生産性向上に邁進する」でないことは確かだ。
私はオーストラリアで二つの職場を見たが、別にオージーが日本人より有能だとは思わない。
ましてやオーストラリア人が日本人より4割増しで有能なんてことは絶対にない。
だから因果関係としてはやはり、
給料(収入)が上がったから、オーストラリア人の労働生産性が上がったのである。
つまり極論を言えば、
日本人の労働生産性を上げたければ、単に給料(収入)を上げれば良いのである。