あなたの給料は妥当か?②
オーストラリアでは転職時の面接で、現在の給料を訊かれることがあるらしい。
(他の国でもそうかもしれないが。)
それを訊くのは、
「今貰ってる給料が500万円なら、じゃあここでの給料は550万円で満足でしょ?」
と、現在の給料を基準にし、転職者の給料を低く抑えるためだと思われる。
では現在の給料が1000万円だったら、転職後の給料は1100万円になるのだろうか。
そのポジションの仕事内容は同じなのに。
これは全く論理的でない。
本来は、「この仕事を遂行できる人には600万円出す」と宣言して募集をかけるべきだ。
Amazonでは転職者の面接時に、現在の給料を訊くのを禁じているらしい。
さすがAmazonだ。頭良い。
過大評価や過小評価が起こるのを抑制し、社員のやる気が削がれるのを防げる。
労働市場は歪みだらけ の続き
私(メルボルンの職場)
二次面接では、人事担当者、マーケティングのマネジャーおよびR&Dマネジャーと対面した。
(以前の記事で書いたが、一次はR&Dマネジャー一人で、多分この面接で採用されることはほぼ決まっていた。)
この二次面接は、まったく有意義なものではなかった。
人事担当者が、圧迫気味に、どうでもいい一般的な質問を繰り返すのである。
「面接時に訊かれる質問」とかで検索すると出てくるようなやつだ。
私はイライラしたが、平静を装って教科書的・優等生的な返答を繰り返した。
他にどう答えろというのか。
(イライラさせておいて、その対応を見るプレイだったのかもしれないが。)
私はもっと、最近の市場動向や製品開発や製造工程について話がしたかった。
それを訊かずに、どうやって私の能力(将来私がもたらす利益)を測るのか。
面接の最後に
「サラリーは幾らくらいを期待していますか?」
と人事担当者は訊いてきた。
こういう質問もあり得るだろうと思ってあらかじめ決めておいた数字を私は答えた。
これを答えるのは結構恥ずかしいものである。
多すぎたら「ふざけるな」と思われそうだし、少なすぎたら自分を安売りしているみたいだからである。
人事担当者は「ふーん」と頷いた。
後日、採用の連絡があり、私の給料は私の言い値で決まっていた。
あと1~2万ドル多く言っていたらどうなっていただろう?
それでも言い値のまま決まっていたかもしれない。
繰り返すが、あんな二次面接では誰の能力(将来もたらす利益)も測れない。
人件費は会社の最も大きなコストの一つだ。
そこは精度を上げていくべきところのはずなのに…。
このように、我々の給料は極めて雑に決められている。
大人になってからデフレしか経験していなかった私は、給料(収入)はほんの少しずつしか上がっていかないものと感じていたが、オーストラリアに来てからは幾らでも上げれそうな気分になってきている。