オーストラリアでは猫も杓子も不動産投資 ③
不動産とは無縁だった人
シドニーの職場に、40代前半のやたらとハイテンションなオージー女性がいた。
白人女性でときどき出くわす、「その元気はどこから湧いてくるの?」という感じのキャラだ。
慎ましかった彼女
私とは、可能性のありそうなスモールビジネスについて話をしたものだ。
「何だって挑戦できるよね? なんでこんなところで働いてるの?」
彼女の仕事は梱包作業のような単純労働だった。
私には不思議だったのだ。
私の発言(↑)は、彼女の交際相手の資金を当てにしたものだった。
彼女はドイツ銀行シドニー支店の支店長?的な人物と交際(同棲)していたのだ。
問題視されているドイツ銀行だが、「腐っても鯛」である。
彼女は答えたものだ。
「だって自立していたいから」
彼女の財布はお手製だった。ビーズや刺繍をあしらった、自作によるものだった。
そういった慎ましさを私は好意的に受け取っていた。
その財布は少なくともユニークだし、創作的な趣味だ。
絵に描いたような玉の輿
やがて彼女はドイツ銀行の彼と婚約し、私に煌びやかなエンゲージリングを見せびらかした。
(ちなみに私は彼女と同世代の男性である。)
そして、Bronte Beachを望む現在のアパートを売って、やはりBronteにある別の物件に引っ越すことにしたという。
数週間の準備期間の後、彼女らはそれを売却した。
3ミリオン以上で。シドニー不動産市場のピークのピークだった。
元々の購入価格は忘れてしまったが、軽く1ミリオンほど儲けたことは確かだ。
買った相手は同業種、つまり金融系の知った名前だったと言う。
その後、彼女は会社を辞めたが、辞める直前には新車のベンツで通勤するようになっていた。
私と話したスモールビジネスは何だったのか。
嘘のような本当の話である。